もう作れない?「ルーズソックス」が直面する現実 90年代に大流行「E.G.スミス」の歴史にも迫る

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ルーズソックスの生産には特殊な編み機が用いられていたが、100年くらい前の古い機械になるため、メンテナンスができない状態になってしまったのだ。

「E.G.スミス」のルーズソックスは、今でもアメリカで販売されているが、使われている多くの編み機は当時と比べると「似て非なるもの」になるそうだ。

そのため、日本で販売されている「E.G.スミス」のルーズソックスは、日本製を販売している。日本の編み機であれば、平成の当時に販売されていたルーズソックスを再現できるのだ。しかし、日本製では生産能力に限界がある。

生産は、1カ月に1000足が限界

「特殊な編み機で編んでいるので、1カ月に1000足が限界ですね。日本で編める機械がほぼない状態ですので、他社との機械の奪い合いが現状です」(「E.G.スミス」担当者)

現在「E.G.スミス」は株式会社ウィックスから、「E.G.スミス」専門のオンラインショップを展開している。

オンラインショップを覗くと、当時人気だった90cmのルーズソックスや60cmのルーズソックスが並ぶなか、タイダイ染めやレースのルーズソックスもあり、「E.G.スミス」の遊び心のあるソックスは今も健在だ。

現在販売されているE.G.スミスのルーズソックス(写真:筆者撮影)

平成のルーズソックスは制服に合わせるのが定番のスタイルだった。また、制服に合わせることを考え、ルーズソックスの色も「白」が人気だった。

しかし、最近では私服に合わせることが多くなり、色のバリエーションも平成の頃に比べるとかなり多くなった印象だ。

そして大人もファッションに取り入れ、短めのルーズソックスをメンズが身につけるようにもなっている。「ルーズソックス」そのものが、平成の頃のような「女子高生がはいている靴下」というアイコンから脱却しているのも、平成をすごした筆者としては不思議な感覚になってしまう。

さらにルーズソックスは、そのスタイルだけでなく、分厚い綿糸で編まれているため丈夫であり、機能性、はき心地の良さも、再評価されている。

ルーズソックスの流行も、私たちの価値観とともに進化し続けている。平成、令和と進化していくルーズソックスに、今後も目が離せない。

Tajimax ライター・コレクター

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たじまっくす

東京都出身。2018年からSNSを中心に90年代〜00年代の平成ガールズカルチャーを紹介している。『オリコンニュース』『現代ビジネス』『ビジネスジャーナル』などで平成ガールズカルチャー関連のインタビュー取材ほか、「アーバンライフメトロ」などのウェブサイト、「クイック・ジャパン」に寄稿。90年代〜00年代の平成ガールズカルチャーのコレクターでもあり、古雑誌をメインに膨大なアイテムを所有している。

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