歳を重ねた人ほど「肉を食べるといい」合理的理由 少量で良質なタンパク質を取るならば肉がいい

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何度も同じような問題を解けば、その問題を解くことに脳が慣れ、機能が最適化していきます。しかし、それはほかに波及しません。これは腕の筋肉を鍛えても、腹筋や足の筋肉が鍛えられないのと同じことで、特定の脳の部位ばかり鍛えてもほかの認知機能までは上がらないのです。

脳の活性化にはインプットよりもアウトプット

では、脳を活性化させるにはどうしたらいいのでしょうか。

そこで大切なのが、アウトプットをする習慣です。脳を鍛えるには、インプットよりもアウトプットのほうが効果があります。

難しい本をひたすら読むよりも、本を読んで感想を書くほうが脳は鍛えられるのです。本を読んだり、音楽を聴いたり、映画を観たり。何かしらのインプットを行ったら、ぜひ自分の頭でアウトプットする習慣をつけてほしいと思います。

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『思考の整理学』という大ベストセラー本を書いたお茶の水女子大学の名誉教授だった外山滋比古さんは、96歳でお亡くなりになるそのときまで非常に高い思考力を保っていたと言われています。その外山さんが生前に意識して行っていたのが、「刺激的な会話」だったそうです。会話は、まさにアウトプットの最たるもの。ただ普通に会話するのではなく、知的な好奇心を与えてくれるような人を集めた勉強会も開催していたのだとか。

意識的にアウトプットの機会を増やすことで、脳を鍛えていらしたからこそ、外山さんは亡くなるまで論理的な思考を保ち続けていたのだと私は思います。

いくつになっても学ぶことは大切です。けれども、その学びをそのままにしてしまうのは、まったくもってもったいない。知ったことや感じたことがあったら、そのままにしないこと。誰かに話をしてみたり、文章にしてみたり。ただ、思ったことを口に出すだけでもいいのです。それを習慣づけるだけで、脳の機能は活性化されます。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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