和田秀樹「要介護になる人・なりにくい人の差」 受験勉強でもシニアライフでも根性論はいらない
要介護にならない効果的な方法
高齢者が弱っていく典型的なパターンがあります。「フレイルサイクル」です。年を重ねると、誰でも気力や体力が衰えるものです。このときに、外出の機会を減らしてしまうと、社会的な交流が減ったり活動量が低下したりします。
すると、エネルギーの消費量が少なくなり、食欲が低下したり食べる量が減ったりしてしまいます。こうなると栄養が不足ぎみになり、筋力や筋肉量も減る「サルコペニア」という状態になりやすくなるのです。基礎代謝の量も減り、身体機能や認知機能が低下し、ますます行動する意欲が減っていき、さらにエネルギーの消費量が減って食欲がなくなっていきます。
このような悪循環を、医療や介護の分野では「フレイルサイクル」と呼びます。高齢者は、急に健康な状態から要介護状態になるのではありません。このフレイル(虚弱さ)を循環的に増していくことで、だんだんと要介護の状態に陥っていくのです。
では、要介護の状態にならず、なるべく健康に近い状態を保つにはどうすればいいのでしょうか。有効な予防法の一つは、このフレイルサイクルに入らないようにすることです。あるいは、入ったとしてもこのサイクルから抜け出すことです。
どうすればそれが可能になるのか。私は「意欲」が最も大事だと思っています。意欲がなければ、行動したいとは思えません。少しでも何かをしたいと思ったら、その意欲を大事にして、すぐに行動に移すという習慣のようなものがとても大切なのです。行動すれば自然と外出する機会も増え、社会的な交流や活動量も増えます。フレイルサイクルを回避できるのです。
この意欲から行動を生み出しやすくするためにも、私は楽に動ける方法を積極的に取り入れるべきだと考えます。行動が楽なら、「やってみよう」「動いてみよう」と思えるものです。
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