和田秀樹「要介護になる人・なりにくい人の差」 受験勉強でもシニアライフでも根性論はいらない

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ポイントは「意欲」にあるようです(写真:kotoru/ PIXTA)
「人生100年時代」といわれる中、シニア世代に入ってからも前向きに人生を楽しむには何が重要なのでしょうか。高齢者専門の精神科医として6000人以上の患者を診てきた和田秀樹さんの著書『80代から認知症はフツー ボケを明るく生きる』から一部抜粋してお届けします。

要介護にならない効果的な方法

高齢者が弱っていく典型的なパターンがあります。「フレイルサイクル」です。年を重ねると、誰でも気力や体力が衰えるものです。このときに、外出の機会を減らしてしまうと、社会的な交流が減ったり活動量が低下したりします。

すると、エネルギーの消費量が少なくなり、食欲が低下したり食べる量が減ったりしてしまいます。こうなると栄養が不足ぎみになり、筋力や筋肉量も減る「サルコペニア」という状態になりやすくなるのです。基礎代謝の量も減り、身体機能や認知機能が低下し、ますます行動する意欲が減っていき、さらにエネルギーの消費量が減って食欲がなくなっていきます。

このような悪循環を、医療や介護の分野では「フレイルサイクル」と呼びます。高齢者は、急に健康な状態から要介護状態になるのではありません。このフレイル(虚弱さ)を循環的に増していくことで、だんだんと要介護の状態に陥っていくのです。

では、要介護の状態にならず、なるべく健康に近い状態を保つにはどうすればいいのでしょうか。有効な予防法の一つは、このフレイルサイクルに入らないようにすることです。あるいは、入ったとしてもこのサイクルから抜け出すことです。

どうすればそれが可能になるのか。私は「意欲」が最も大事だと思っています。意欲がなければ、行動したいとは思えません。少しでも何かをしたいと思ったら、その意欲を大事にして、すぐに行動に移すという習慣のようなものがとても大切なのです。行動すれば自然と外出する機会も増え、社会的な交流や活動量も増えます。フレイルサイクルを回避できるのです。

この意欲から行動を生み出しやすくするためにも、私は楽に動ける方法を積極的に取り入れるべきだと考えます。行動が楽なら、「やってみよう」「動いてみよう」と思えるものです。

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