和田秀樹「要介護になる人・なりにくい人の差」 受験勉強でもシニアライフでも根性論はいらない

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あらゆる手段を用いたり、あるいは自分の生きる姿勢を変えたり、素直に人に手助けを求めたりすることで、実に多くのハードルは乗り越えられるのです。

オムツなど便利な道具を一つ使えば、老化のハードルを軽く一つ乗り越えられます。それだけで自由に生きることができるのです。多くの高齢者に接していると、老化に対してうまく対応している人もいれば、そうでない人もいらっしゃいます。いろいろな人がいて、さまざまなケースがあるのですが、老化のハードルを意欲的に乗り越えて自分の人生を楽しみながらますます充実させていく人もいます。

あくまで私の経験ですが、そのような人は要介護の状態に陥りにくく、健康寿命が長い傾向にあります。仮に要介護になったとしても人の力を借りながら、楽しそうに毎日を過ごしています。表情も明るく、家族や友人たちとの関係も良好の場合が多いです。

その一方で、老いの不安にとりつかれてしまう人もいます。老いてできなくなってしまったことを嘆き、家族に対する不満ばかりが口をつき、やがて体力も気力も落ちていくのです。助言や支援をしても、このような人は心がかたくななことが多く、なかなか変わってくれません。このような人は老け込むのが早いと感じています。

積極的に老化のハードルを乗り越える

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私はこれから老人の仲間入りをしますが、できれば前者のような老人、つまり積極的に老化のハードルを乗り越えて、自由に意欲的に前向きに生きたいと思っています。

今まで、たくさんの患者さんから、生きることについて数え切れないほど多くのことを教えていただきました。その中からこれはいいなと思うことをこれから一つひとつハードルを乗り越えながら実践したいと思っています。

たとえ認知症という壁にぶち当たっても、上手に認知症とつき合いながら生きようと思っています。認知症でもできることを探しながら自分が自分である限り、より自由に、より積極的に、より意欲的に生きたいと思っています。なぜなら、最後まで自分の人生を楽しみたいからです。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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