人口急増の「流山市」本当に住みやすい街なのか 住民からは学校や地域の「格差」を指摘する声も

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森を守る活動をしてきた「NPOさとやま」の担当者は、

「市野谷の森は周囲がすっかり住宅地や幹線道路に囲まれ孤立した森になってしまい、生きものは生きづらくなっています。流山市の森林率を見ると、この10年ほどで約3割減っています。市内の森が少なくなっている現状とその影響を、一度検証する必要があるのではないかと思います」と語る。

開発されている地域が「30~40年後は多摩ニュータウンのようになるんじゃないか」という懸念を口にする市民も少なくない。石田教授もその一人だ。

「おおたかの森を『千葉のニコタマ』と呼ぶ人もいるそうですが、江戸川台にしても、かつては多くの子育て世代が流入し活気があった場所なんです。それが、今や駅に急行も止まらず、若者が離れてしまっています。

郊外型ニュータウンに移り住む人たちは、安定した収入があり教育に熱心な家庭が目立ちますが、そうした家庭の子どもは独立したら街を出ていくケースが多く、一気に高齢化してしまうのです。街の活気は、なんとかして支えていかないと続かないもの。流山も、宣伝は上手だとは思いますが、子育て世代の人口増加を図るだけではなく、その先に人口を循環する仕組みを考えていかないと同じことが起きるのではないかと思います」

流山を「知ってもらえてうれしい」との声も

筆者も流山市に育ち、小中は市内の公立校に通った。友人と遊んだ森、見慣れた畑や住宅街が姿を消し、鉄道が開通してまったく新しい街がつくられた。おおたかの森を「ニコタマ」と呼ぶ地元民に会ったことはないが、目立った産業も人が集まる中心街もなく、今後の発展が難しいと思われた街は大きく生まれ変わった。TX沿線の発展を喜ぶ若い住民もいる。

それでもある70代の女性は、こんな言葉を口にした。

「昔は県外の人に流山って言っても通じなかったから、知ってもらえるようになったのはうれしいですよ。でも、学校の問題があったり森がどんどん減っていったりと、良いことばかりじゃないですよね」

育った街に脚光が当たるのはうれしい一方で、その光の当てられ方に違和感を持つ地元住民がいるのも、また事実である。

(AERA dot.編集部・國府田英之) 

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