人口急増の「流山市」本当に住みやすい街なのか 住民からは学校や地域の「格差」を指摘する声も
小田桐市議も「新しい学校ができたからそっちに移りましょうねって。教育面や子どもが育つ環境として、良いことではありません。若い世代の人口が増えた、子どもが増えたという『勢い』ばかりが良いこととして報じられていますが、子どもや親が振り回される事態にもなったのです」と指摘する。
流山市の学校教育課に話を聞くと、「保護者やお子様へのご負担は懸念しながら対応しております。今の学校に通わせ続けたい、移りたくないと希望される保護者もいらっしゃいますが、ご批判だけということではなく、きれいな学校に移れてよかったという声もあり、さまざまなご意見をいただいております」と説明する。
同課によると、不動産会社の中には学区や新しい学校ができることについて古い情報を説明してしまったところがあり、引っ越してきてから事実を知ったケースがあったという。「学区については、市に直接お問い合わせしていただきたいと考えています」と担当者は口にする。
ちなみに、新設の「おおぐろの森小」の校歌は、人気歌手の一青窈さんが作詞をしたが、
「一青窈さんは何も悪くありませんが、流山にゆかりのない有名人を起用する意図が分からない。新しい学校にばかりお金をかけて、古い学校を放っておくのは『格差』でしかないと思う」と、市内の古い小学校に子どもが通う40代主婦は憤る。
市内の「地域間格差」も深刻
小田桐市議にも学校格差の声は届く。市内の古い小学校では、プールの老朽化が進んでいるところもあったがなかなか改修されず、23年度から民間プールで授業を行うことが決まった学校もある。
「人口を増やしたという点では成功といえるのかもしれません。ただ、それもTXが開通したおかげであって、市の施策の効果と言えるかは微妙です。人口急増に対応するため、いびつに学校などのインフラを整備してきたのが実情です。全力疾走しながら考えます、という形ですよね」
と話すのは流山に40年近く住んでいる早稲田大学文学学術院の石田光規教授(社会学)だ。石田教授は街づくりに詳しく、過去には「多摩ニュータウン」の研究を行ったこともある。多摩ニュータウンといえば、1970年代は憧れの郊外ニュータウンだったが、近年は人口減と高齢化が進み、街の活力低下が課題となっている街だ。