人口急増の「流山市」本当に住みやすい街なのか 住民からは学校や地域の「格差」を指摘する声も
「メディアをうまく使っていい面の宣伝ばかりしている」(50代男性会社員)
「人口が急に増えて起こった問題はけっこうありますよね」(30代男性商店主)
事実、人口急増の陰でさまざまな“副作用”があったようだ。
子どもが増えすぎて学校がパンク
まずは、学校の“パンク”だ。
過去をさかのぼると、おおたかの森駅の近くには09年に、移設されて校舎が新しくなった「小山小学校」ができた。市や不動産業者は、引っ越しを検討している子育て世代をターゲットに、新しくて環境の整った学校に子どもが通える、というメリットを積極的にアピールした。
ところが、「子どもが増えすぎて、その小山小の教室が足りなくなったのです。急きょ、プレハブの教室をつくりましたが、そこもすぐに埋まってしまいました」と話すのは流山市議の小田桐たかしさんだ。
その結果、何が起きたか。
市や不動産会社のうたい文句を信じて、小学校のすぐ近くに引っ越してきたのに、子どもが小山小に入れないという事態になったという。
「小山小から200メートルほどのところに住んだのに、1・4キロ離れた小学校に通うことになったお子さんもいました。新しい小学校を客寄せパンダのように宣伝した結果です」(小田桐市議)
その遠い学校は歴史が長く校舎が古かったこともあり、話が違うと憤った新住民もいたようで、17年には「母になるなら流山市はやめろ」などと新住民がネット上に書きこんだことが地元でちょっとした話題になった。
おおたかの森駅周辺では、15年に「おおたかの森小学校」が新設されたが、それでも人口増に対応しきれず、21年に「おおぐろの森小学校」ができた。さらに、24年にも「おおたかの森小」からわずか200メートルの場所に新たな小学校が新設される予定だ。
「同じマンション、しかも同じフロアなのに違う小学校に通っていたり、同じ自治会のお子さんたちが4つの小学校に分かれていたりする事例がありました。コミュニティーのあり方として、非常に問題だと感じています。また、国が進めている『35人学級』も、小山小では教室不足により一部の学年で実現できていません」(小田桐市議)
学区変更により、新しい学校に移る子どもも少なくなかった。24年に小学校ができれば、そちらに転校しなければならない子どもが出る。
同じ問題は南流山駅周辺でも起きており、新しい小学校をつくらねばならないため、既存の中学が2キロ以上も離れた場所に移転する。移転先の中学に徒歩30分以上かかる距離から通わねばならない生徒が出るほか、車の通行量が多く通学に適した環境とはいえないことから、住民からは憤る声が出ている。
「遠くに移転しすぎですよ。子育て世代を積極的に呼び込んでいるのに、学校の用地のめどもつけていなかったとは……」(小学生の子を持つ40代主婦)