【特集・G7サミットでのウクライナ支援(第1回)】
今年の5月、日本はG7サミットを広島で開催し、ホスト国となる。この広島G7サミットでは、さまざまな議題が想定されており、広島開催であることから核兵器廃絶についても重要なテーマとなるであろう。他方で、そこでのもっとも切迫した議題は、G7として結束してウクライナ支援を継続する姿勢を示すことになるはずだ。
だが、G7としての結束も、G7の世界での影響力も、必ずしも自明のものではない。日本はそれを示すための努力が必要となる。
価値を高めつつあるG7
過去40年ほどの間に、世界経済に占めるG7としての存在感は縮小する一方であった。それはまた、アジアやアフリカなどでの新興国が着実に経済成長を続けることの、裏返しでもあった。1980年には世界経済全体の61%を占めていたG7も、2021年には43%まで縮小している。
また、G20の中で、主要先進国のG7と、主要新興7カ国のいわゆる「E7」のGDPの合計を比較すると、G20が始まった2008年ではG7がE7の3.2倍の規模であったのが、2030年にはG7よりもE7のほうが大きくなるとみなされている。G7の世界経済に占めるシェアの縮小は、必然的にその影響力の後退をも意味する。
他方で、現在、G7の価値が見直されつつあるのも事実であろう。というのも、ウクライナを侵略したロシアが常任理事国として拒否権をもっているために、国連安全保障理事会がロシアの侵略を止めるために十分に機能していないからだ。ロシアが一定の発言権を有するG20も、意見を収束させて明確な方針を示すことがきわめて困難となっている。権威主義諸国が台頭する中で、価値を共有するG7諸国の結束がより大きな価値を持つようになったのだ。
ロシアのウクライナ侵略が膠着状態をもたらし、今後ロシア軍による大規模な攻撃が想定される中で、G7としてウクライナ支援の継続の明確な方針を示し、対ロシア制裁をよりいっそう実効的なものとしていくことが重要となっている。そのような中で、日本はどのような方針で広島G7サミットに臨もうとしているのだろうか。
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