日本はG7&グローバルサウスとどう向き合うか 「1つの声」を発しつつ「多数の声」を尊重

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岸田文雄首相と林芳正外相は、「法の支配による国際秩序」、あるいは「自由で開かれた国際秩序」という言葉を用いて、日本が目指すべき国際秩序像を提示している。アメリカのバイデン政権は、「民主主義サミット」のように、民主主義と理念を掲げることが多いが、それはアジアやアフリカの民主主義ではない諸国を除外する結果となり、国際社会で新たな分断線を引くことになる。

民主主義というイデオロギーよりも、「法の支配」というスローガンを掲げるほうが、包摂的により多くの諸国の参加を期待できるのだ。このような日本外交の包摂的なアプローチを、分断が進む国際社会でアピールすることが重要だ。

それゆえ、岸田首相は今年の1月23日の衆議院での施政方針演説において、次のように述べている。「力による一方的な現状変更の試みは、世界のいかなる地域においても許されない。広島サミットの機会に、こうした原則を擁護する、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持するとの強い意志を、改めて世界に発信します」。

日本にとっての重要な課題は、この今年5月の広島G7サミットでのメッセージを、秋に開催予定のインドがホスト国となるG20サミットに繋げていくことである。そのような思考からも、岸田首相は次のように語った。「世界が直面する諸課題に、国際社会全体が協力して対応していくためにも、G7が結束し、いわゆるグローバルサウスに対する関与を強化していきます」。

グローバルサウスとの連携の重要性

このように、G7とグローバルサウスの両者の連携こそがより、ロシアのウクライナ侵略を成功させないための、強いメッセージを国際社会に発信する礎石となるであろう。「グローバルサウス」とは、南半球に多い新興国や途上国の総称である。

いまや、インドやインドネシアなどが、国際社会で大きな影響力を有するようになった。昨年G20の議長国であったインドネシア、そして今年の議長国のインドは、そのような「グローバルサウス」の中核的な大国といえる。インドネシアもインドも日本は歴史的に友好関係にあるために、日本外交の役割が重要となる。

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