中国・習政権が袋小路に入りつつあるという懸念 「強国復権」目指すもネオ・チャイナリスクが台頭

✎ 1〜 ✎ 32 ✎ 33 ✎ 34 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
習近平
中国は政治、社会と経済の混乱がこれから加速していくかもしれない(写真:Bloomberg)

【特集・中国の経済安全保障(第4回)】

1978年から中国は改革・開放の道を歩み始めて、2000年代に入り、経済の高成長を成し遂げ、世界経済を牽引する役割を果たしてきた。しかし習近平政権期の中国は、民主主義国家からみれば国際社会にとってのトラブルメーカーになっているようだ。そうした習政権の行動の根源を理解するには、毛沢東時代に遡る必要がある。

改革・開放から毛沢東時代への逆戻りの始まり

1970年、毛沢東は北京訪問のエドガー・スノーに、「わたしは天(神様)を無視し、法も無視する」と冗談っぽく言ったことがある。1966~76年文化大革命を引き起こして知識人を迫害し、数十万人が犠牲になったといわれている。当時、知識人の迫害に直接加担したのは、「紅衛兵」と呼ばれる中学生や高校生たちだった。

翻って習政権の1期目と2期目の執行部(党中央政治局常務委員の7名)を見れば、全員が紅衛兵世代であり、多くが元紅衛兵だった。3期目の執行部も同じく紅衛兵世代によって構成されている。当時、紅衛兵たちは文革の主役として、「造反有理」などのスローガンを叫びながら、富裕層や知識人などの「反革命分子」を容赦なく打倒した。

1978年、文革によって失脚していた鄧小平などの長老が復権し、毛沢東と文革を部分的に否定し、改革・開放政策を始めた。その結果、中国経済は高成長を成し遂げ、今や世界第2位の規模となった。しかし、紅衛兵世代の習主席自身は毛時代を否定せず、「困難な模索」と総括している。紅衛兵世代の習政権執行部にとって、自由化によって経済こそ発展したが毛沢東の革命路線から大きく逸脱し、このままいくと共産党指導体制が崩れる心配がある、との懸念がある。

次ページ中国政府・共産党は国有企業を強くできない
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事