憂鬱な人がわかってない「気分の落ち込み」の正体 「誰も教えてくれなかった」一生役立つ心の健康法

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気分の落ち込みがすべて脱水状態のせいだというわけではないが、気分について語るときには、原因が常に脳にあるわけではないことを覚えておこう。原因は体の状態、人間関係、過去と現在、生活状態、ライフスタイルにもある。食事、考え、行動、記憶など、わたしたちがすること、しないことのすべてにある。気分は脳だけの産物ではないのだ。

脳は絶えず働き、何が起きているかを理解しようとしている。しかし、その手がかりになる情報は限られている。心拍数、呼吸、血圧、ホルモンといった体からの情報。見たり、聞いたり、触れたり、味わったり、嗅いだりという五感からの情報。それに行動や考えだ。脳はこれらの情報のすべてと、過去に同じような状況でどう感じたかという記憶をつなぎ合わせて、今何が起きていて、それにどう対処すればいいかを推測する。

その推測が時には感情や気分として感じられる。その感情をわたしたちがどう解釈し、どう反応するかが、次に何をすべきかという情報を体と心に送り返す(Feldman Barrett, 2017)。つまり気分に関しても、入ってきた情報によって出てくる結果が決まるのだ。

気分は思考・体の状態・行動と影響しあう

多くの自己啓発本は、正しい考え方をしなさい、と説く。それらの本は、「どう考えるかによって、感じ方は変わる」と言うが、往々にして肝心な点を見逃している。それはこの関係が双方向に働くことだ。どう感じるかによって考え方は変わり、悪くすると、否定的で自己批判的な考えを抱きやすくなる。気分が落ち込んでいると、思考パターンが良くないとわかっていても、別の考え方をするのは難しい。

ましてやソーシャルメディアでよく提唱される「常にポジティブに考える」というルールに従うのは、いっそう難しくなる。つまり、ネガティブな思考はネガティブな感情の原因ではなく、結果かもしれないのだ。だから、「考え方を変える」というのは、落ち込みを解消する唯一の答えにはならないだろう。

どのように考えるかがすべてではない。わたしたちがすること、しないことのすべてが気分に影響する。

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