串カツ田中「炎上劇」対応がマズいこれだけの理由 インフルエンサー投稿発端に不安の声が広がる

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加えて「謝罪リリース」の内容そのものも拙かった。文面が謝っているのかいないのか、よくわからないのだ。もう一度、「謝罪リリース」の冒頭の一文を引用する。

お客様および関係者の皆様に対しましては、多大なるご心配とご迷惑をおかけしていること、深くお詫び申し上げます。(公式サイトより)

この文で謝罪原因は「不衛生な食品取扱」でもなければ「パワーハラスメント」でもない。「ご心配とご迷惑をおかけしている」ことだ。この「謝罪原因が何かわからない謝り方」は、実は「責任を認めたくないが、謝らざるを得ないときの常套句」でもある。

大変お騒がせをしてしまったこと、ご心配をおかけしていることに対し、国民の皆さま、私を長く支援してくださっている後援会の皆さま、地元群馬の皆さま、ご迷惑をかけている全ての皆さまに、心からのお詫びを申し上げます。

これは2014年に当時の小渕優子・経済産業大臣が政治資金問題で辞任することになった会見での台詞だ。謝罪の原因はあくまで「大変お騒がせをしてしまったこと、ご心配をおかけしていること」。決して「政治資金に関する不正」を認めて謝っているわけではないのだ。

今回の「串カツ田中」の場合、冒頭の「ご迷惑」に対する謝罪の後に、次の説明が続く。

食品衛生法の趣旨に即した提供はなされているものの、社内基準に即した食材管理および提供方法について一部徹底されていないことを確認しました。(公式サイトより)

「法に反していないから、謝るべきではないのでは」。そんな想いが、この謝罪文から垣間見える気がするのは私だけだろうか。

さらに細かい点だが、この「謝罪リリース」は改行が適切になされていない。実に読みにくいのだ。

スシロー、ジャパネットたかたに学べること

では「串カツ田中」は、どのように対処すべきだったのか。

私のテレビ東京での取材経験、そしてPR戦略コンサルタントとして得た、謝罪の基本。それは「早い」「潔い」、そして「社長本人が出ること」。この基本原則に沿った対応をすれば、世間の受け止め方も大きく違ったはずだ。

次ページ謝罪の基本「早い、潔い、社長本人が出る」
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