外野の声に耳傾けず「ありのままの私」でいる方法 初対面でハグ、米国人起業家とNHK記者の邂逅

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たくさんのレモン
英語圏では、困難や逆境のことをレモンと表現することがあります。容姿を否定され、たくさんのNOを突きつけられたイットコスメティックス創業者は、困難をどう乗り越えたのでしょうか(写真:SeaWave/PIXTA)
「あなたのような見た目の人から化粧品を買う女性がいるとは思えない」と言われてもはい上がり、化粧品最大手のロレアルに約1500億円という巨額で自社を売却するに至った女性起業家がいる。
自宅リビングでイットコスメティックスを立ち上げたジェイミー・カーン・リマ氏だ。その顛末は、自伝『Believe It 輝く準備はできてるか』で詳細に語られている。
リマ氏に現地でインタビューをし、2022年12月15日放映のNHK総合「おはよう日本」、同月19日のNHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」でその模様を放映、記事化(「仕事で信念を貫くには?女性経営者の“みずからを信じる力”」)したNHKの山田奈々記者に取材の裏側と印象を聞いた。

「いきなりハグしたら、日本の視聴者たちから変な人って思われるかしら?」

初めて会ったとは思えない人懐こさで、撮影の冒頭、そう話しかけてきたジェイミー。

「全然大丈夫、私もHugger(ハグ好き)だから」と答えるとちょっと安心した表情を浮かべて、ぎゅっとハグしてきました。

2022年11月、ジェイミー本人に会ってインタビューした記者の私が、彼女との出会いで記者として、女性として、1人の人間として感じたこと、考えたことをお伝えしたいと思います。

「女性記者はずるい」のか?

「おめでとう、良い商品だが投資は見送る。あなたのような体重や見た目の人から化粧品を買う人がいるとは思えない」

『Believe It 輝く準備はできてるか』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

投資家からこんな衝撃的な言葉をかけられたというジェイミーのエピソードを聞いて、真っ先に思い出した言葉があります。

「女性記者はずるい」

最初にそう言われたのは14年ほど前、私がNHKに入局して間もない頃、同僚の男性記者からでした。

事件や事故の取材でお世話になる警察官も、自治体の取り組みの取材や市長、知事の会見などで関わりがある役所の課長や部長たちも圧倒的に男性が多い中、おじさんたちは女性記者には優しいけれど、男性記者には冷たいんだよね、という趣旨のこの発言。

子どもの頃から「女の子かどうかは関係ないよ」と男兄弟と分け隔てなく育てられてきた私は、なんとも言えない強烈な違和感を感じたのを覚えています。

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