ネイマールに"惚れ"ブラジルに渡った彼のその後 「自分時間」を生きてW杯選手らの語学講師に

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2022年6月、サッカー日本代表対ブラジル代表の試合後、ネイマール選手と再会。ネイマール選手に「日本どうだった?」と聞くと「良いチームだった」との答えが返ってきたという(写真:タカサカモトさん提供)
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東大8年生 自分時間の歩き方』を上梓したタカサカモトさん(37)は異例の経歴の持ち主だ。東京大学出身ながら、人生を迷いに迷い、卒業まで8年在籍。メキシコでタコス屋、ブラジルの名門サッカーチームで広報担当、鳥取で寺子屋づくり、ネイマール選手の通訳やアテンド、遠藤航選手・原口元気選手らの語学レッスンなど、「なぜそうなった?」と聞かずにいられない人生を歩み続けている。

「自分の時間を生きる」

鳥取県で生まれ育ったサカモトさんは、県立高校の進学校に一番の成績で合格。周囲からは当然のように「主席で入ったのだから目指すは東大だよね」と言われるなどした。「勉強が苦手ではなくて、たまたまその高校に一番で入ったから、というだけで、そう思われる空気が嫌いでした」。

しかし高2のとき、予備校のイベントで尊敬できる東大生と知り合ったことで、同じ大学で学び、もっとたくさんの人に出会いたくなった。また「日本で一番人口が少ない県で、限られた選択肢でしか将来をイメージできなかったんです。そのため一度、東京に出て視野を広げたいと考えました」。

『東大8年生 自分時間の歩き方』を上梓したタカサカモトさん(撮影:松山勇樹)

東京には他にも大学はあるが、経済的な負担を考えると国立大学が良く、入学時に専攻を決めず、リベラルアーツを重視している東大の教育システムに惹かれた。

2004年春、上京して東大へ入学。右も左もわからず始まった大学生活だったものの、小松美彦先生による「科学史」の授業に衝撃を受け、夢中になった。それは充実感に満ちあふれ、学ぶとは何か、生きるとは何かを深く考えさせる授業だった。

東京での目まぐるしい時間の流れに戸惑っていたときのこと。小松先生に「苦しい」と相談すると「君の内側に流れている自分の時間を生きればいい」、「外側を流れる時間からズレていくのは当たり前だから、むしろ苦しみ抜くぐらいでいい」と助言をもらった。

このとき教えられた「自分の時間を生きる大切さ」がその後、サカモトさんの人生を形作っていく。

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