ネイマールに"惚れ"ブラジルに渡った彼のその後 「自分時間」を生きてW杯選手らの語学講師に

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レッスンはかなりユニークなものだった。例えば遠藤選手の音楽好きに着目し、まずエド・シーランの歌を“完コピ”することから始めた。将来、海外移籍をしたときに“エンドウ・シーラン”としてロッカールームデビューできたら楽しいだろう、という茶目っ気を盛り込んでいたのだ。

その後、遠藤選手からの紹介で2019年からは、2018年のワールドカップロシア大会で活躍した原口元気選手も生徒に加わった。ドイツでプレーしていた原口選手とは「日本人とは何か」といった日本人論で議論をしたり、ベルリンの歴史について学び直したり、知的関心は多方面に広がっていった。

ドイツで長年プレーしている原口元気選手とは語学のレッスンのみならず、「日本人とは何か」「何が日本人たらしめているのか」といった問いでも議論を重ねた(写真:タカサカモトさん提供)

サカモトさんの現在

現在、サカモトさんは埼玉県さいたま市に居を移し、妻と共に6歳の長男を育てながら、海外での活躍を目指すサッカー選手らのサポートを続けている。通訳やコンサルタントの仕事もしているが、子育てや家庭というものが生活の中心にあるのは変わらない。

「自分時間で生きること」

家族との時間を大切にしているサカモトさん。鳥取県に住んでいたころ、海岸を親子で散歩する様子(写真:タカサカモトさん提供)

大学のときに教えてもらったこの言葉どおり、人とは違う時間を生きてきた。「なんとなく20代のころから、自分の人生は40歳からがスタートだって予感していたんです」。その年齢に近づいてきた今、スタートラインの先に広がる景色を楽しみにしながら、サカモトさんは家族と共に日々、自分時間を過ごしている。

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吉岡 名保恵 フリーライター

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よしおか なおえ / Naoe Yoshioka

1975年和歌山県生まれ。同志社大学を卒業後、和歌山県の地方紙「紀伊民報」で記者として勤務。結婚を機に退職し、国立大学医学部の非常勤職員などを経てフリーに。現在はライターとしてビジネス、教育、ライフスタイルなどを中心に幅広く取材やインタビューを担当。大学時代にグライダー(滑空機)を始め、(公社)日本滑空協会の機関誌で編集長も務めている。

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