シンギュラリティ到来?AIにできない「あること」 経営者は人間の「集中力」を甘く見てはいけない

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世界が初めてこうしたコンピュータの実力を思い知らされたのは、1997年のことだった。IBMのコンピュータ「ディープ・ブルー」が、チェス界に君臨していた世界チャンピオンのガルリ・カスパロフを破った。

チェスや囲碁など、集中力を要する課題のいくつかを機械が高いレベルで実行できることは明らかだ。今後、機械が担える課題はもっと増えるだろう。

では、人間の集中力の出番はどこに残るのか。この問いは重要だ。

もし集中力を要する課題すべてを機械が担えるようになるなら、新しい働き方をデザインして人間の働き手の集中力を高める必要などない。この問いに答えるためには、集中力を要する課題とはどのようなものかを細かく検討しなくてはならない。

ひとくちに集中力を要する課題といっても、その種類はさまざまだ。フレームワークをもとに考えてみよう。

未来の可能性を想像できるのは人間だけ

(出所:リンダ・グラットン『リデザイン・ワーク』)

図(※外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)の横軸に示すのは、検討すべき時間の幅だ。1秒から始まり、1日、1カ月、1年、10年までの幅がある。

縦軸は、認知的課題で要求される集中力の類型を4種類示す。①~④へ大きくなるにつれて、求められる集中力は高度なものになる。具体的には、①相関関係(複数の既知のものごとの間の関連性の強さを明らかにする)、②因果関係(ある既知の行動がある既知の結果をもたらすという関連性を把握する)、③想像(新しいものごとを思い描く)、④因果関係の想像(さまざまな出来事やプロセス、状態がどのようにほかの出来事に寄与するかを想像する)である。

チェスの対局で人間に勝つようにつくられている機械は、短い期間で収集した相関関係に依存する。こういった機械は、アルゴリズムを活用して大量のデータを分析し、それらのデータの相関関係を明らかにする。

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