人間の脳はマルチタスクが得意でない。いくつかのことを同時に実行しようとすれば、効率と生産性の両方がそこなわれる。課題の切り替えをひっきりなしに行い、集中が乱されてばかりいると、未来のことを考えたり、ものごとを深く考えたりすることができなくなる。そして、過剰な負担により消耗する羽目になる。
社員がオフィスや自宅で邪魔されずに仕事に集中できる時間を確保するための取り組みの効果は、業務時間に関する初期の研究によっても裏づけられている。1900年代に、ハーバード・ビジネス・スクールのレスリー・パーロー教授が行った研究によると、ある職場で同僚に声をかけることを禁じる静粛時間を導入したところ、ソフトウェア・エンジニアたちの「時間不足」の感覚が弱まり、生産性が向上したという。
これまでになく「リーダーの役割」が重要
研究者のイーサン・バーンスタインはこう指摘している。「リーダー自身が目に見える形でオフの状態に切り替えなければ、オフィスに瞑想ルームの類いを設けても、ドットコム・バブルの時代のフーズボール(テーブルサッカー)の台のように、次の景気後退時に真っ先に解雇されそうな社員しか利用しない」。
機械が分析やデータ処理を担うようになるにつれて、人間の働き手にとっては、人間ならではの集中力が求められる課題を行う能力がますます重要になる。機械による人間の能力の補強が進むのに伴い、人間が集中力を発揮するのを助ける慣行やプロセスを採用することが改めて重要性を増している。
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