「悪夢をよくみる人」に知ってもらいたい"夢"の話 なぜ夢を白黒でみる人とカラーの人がいるのか

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かつては「色つきの夢をみる人は脳に障害がある」「色のついた夢をみる人は知能が高い」などの俗説があったようですが、それは調べた時代によるものと考えられます。

日本でいつもカラーの夢をみる人は、1993年には約20%でした。2009年には20代ではカラーの夢は50%以上、60代以上では10%以上という調査報告があります。

夢が色つきか白黒かを決めるのは、加齢という発達的要因と、白黒テレビからカラーテレビへの変化という社会文化的要因が関連しているのではないかと考え、日本とドイツの研究者が実証研究を進めています。

一般的には、年齢を重ねると夢は鮮明度が淡くなり、画像処理でいえば少し画質を落とした感じになるようです。

悪夢をポジティブに変容できる「明晰夢」

夢は睡眠中、自動的に起こる情報処理過程なので、基本的に自分の意識でコントロールできるようになっていません。もし、ある程度自分の意志で夢の内容をコントロールできるとしたら、眠りの時間はとても楽しくなるはずです。夢はもともと覚えるようにはできていないし、いやな夢ほど覚えていることが多いです。

この状況で思いどおりの夢をみるというのは困難なことですが、それでも「夢はどこまでコントロールできるか」をテーマに、生理心理学的視点からその存在証明に取り組んだ成果が「明晰夢」です。

明晰夢とは、「自分がいま夢をみていると自覚する夢」のことです。夢と現実の違いに気づくことをきっかけに、「夢をみている最中」だと自覚して、そのまま夢をみ続けることができる人もいれば、静かに、映画のように第三者的視点でみている人もいます。

さらに、夢の中に登場する自分の動きをコントロールすることができる人もいます。あたかも映画のディレクターのように、「夢なのだから……」とものを自由に取り出して事態の解決に役立てたり、自分が満足を得るような夢の結末になるように、途中から、あるいは最初から何度もやり直したりすることができる人もいます。

さらに夢の中でのひらめきを夢の中で記録することができるという人もいます。かつてスティーブン・ラバージらが著した『明晰夢の世界を探る』では、「人生は夢である。(夢は)生きるためのリハーサルである」というようなことが述べられていて納得します。

また、現代において明晰夢は、悪夢をみる患者の夢をポジティブに変容させるための支援法としても使用されているのです。

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