韓流支える「日本でたった1人しかいない職業」 なぜエンタメに差がついた?日韓の意外な真実

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日韓の仕事の現場では、韓国人の国際感覚が、日本人よりもかなり進んでいると感じることがあります。昔から、韓国語を話せる日本人より、日本語を話せる韓国人のほうが圧倒的に多いということもそうですが、彼らは日本の文化や習慣まで理解したうえで、日本人とコミュニケーションを取ろうとする姿勢が強いのです。

そして自国とのバランスを計り、どうすればお互いに近づけるのかというところまで考えながら仕事をしているように思います。

最近は日本人スタッフにも、韓国への留学経験があるなど、韓国の言葉や文化を理解する人が増えています。ただ、なかには完全に「韓国ナイズ」されている人もいて、逆に韓国の立場からしか、物事を考えられなくなってしまっているパターンを多く見かけます。これでは仕事がうまく進みません。

日韓協働の現場で必要とされるのは、相手の言葉を理解するとともに、自国のアイデンティティーをしっかり持ち、双方の価値観に照らし合わせることができる人材です。そして、相手とぶつかることを恐れないこと。

日本人は、なるべく衝突を避けようとしますよね。でも、韓国の人たちは意見をぶつけ合って、そこからクリエーティブなモノづくりをすることが大好きなのです。僕も韓国関連のイベントでMCをするときには、相手のやりたいことを尊重しつつ、日本のファン目線も大切に、時にはぶつかり合いながらその場で修正していくということを長年くり返してきました。だからこそ、今もこうして仕事が続けていられるのだろうと思います。

戦略ではなく実力で日本人を選抜

また韓国は、「いいものならどんどん取り入れよう」という勢いもすごい。去年のNHK紅白歌合戦に出演した人気ガールズグループのIVE(アイブ)やLE SSERAFIM(ル・セラフィム)をはじめ、今、日本人メンバーが次々とK-POPアイドルとして目覚ましい活躍を見せています。しかも、その理由は決して日本でビジネス展開することを見越して、入れているわけではありません。シンプルに実力を評価しているのです。

『K-POPバックステージパス』(イースト・プレス )。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

日本でのライブやコンサートでのMCを見ていただければ、わかると思います。グループの中に日本人メンバーがいたら、当然、その人が中心になってしゃべるのかと思いますよね? でも、違うんです。日本語が母国語ではなくても、トークがうまければ、韓国人メンバーが中心となってMCを務めることも少なくありません。

以前は、日本市場を意識した戦略として日本人メンバーを入れる傾向もありましたが、現在のこうした感覚を見ていると、K-POPにも確実に新しい時代が来たなと感じます。

(構成:保手濱奈美)

古家 正亨 ラジオDJ、イベントMC

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ふるや まさゆき / Masayuki Furuya

北海道出身。北海道医療大学看護福祉学部医療福祉学科臨床心理専攻卒業。上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士前期課程修了。1998年韓国留学。帰国後K-POPの魅力を伝える活動を、マスメディアを中心に展開。2009年、日本におけるK-POPの普及に貢献したとして、韓国政府より文化体育観光部長官褒章を受章。日本で開催される韓流・K-POPイベントのMCとして活動し、ニッポン放送「古家正亨 K TRACKS」、NHK R1「古家正亨のPOP★A」など多数のラジオ、テレビ番組を担当。著書に『ALL ABOUT K-POP』(ソフトバンククリエイティブ)、『Disc Collection K-POP』(シンコーミュージック)、『韓国ミュージック・ビデオ読本』(キネマ旬報社)など。

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