韓流支える「日本でたった1人しかいない職業」 なぜエンタメに差がついた?日韓の意外な真実

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最近は、僕の仕事を「K-POPファンのなりたい職業第1位」なんて言ってもらえることもあります。おそらくステージ上でアイドルのみなさんと楽しく交流する姿から、そう思われているのではないでしょうか。でもそれは、韓国エンタメ関連のMCの仕事の中でもほんの一部。実は、苦労の多い役回りです。

日本の常識が韓国に通用しない…!

まず、日本のタレントさんなどのイベントでMCをするときとは、やり方がまったく違います。単に台本に沿って進行をするだけではなく、イベントの内容についてもう少し日本向けにアレンジしたほうがいいと思うところがあると、事前に意見を言うようにしています。それは僕がラジオ番組の制作など、裏方の仕事もしていることから気づく部分でもあります。

韓国の芸能人らからも信頼が厚い。日本の韓国エンタメ・ファンからは「古家さんになりたい」と言われる(撮影:尾形文繁)

韓国のイベント、とくにファンミーティングはテレビの作家さんが構成で入っていることが多く、イベントの内容が “TVショー”形式です。

たとえば、テレビという枠の中で、家でのんびり観ているぶんには楽しいと思いますが、日本では(ステージやイベントでは)やらないようなゲームを、長時間にわたってやろうとします。その背景にはファンミーティングのようなイベントは、ファンサービスの一環で実施する意味合いが強いですから、少しでも長い時間、一緒の空間を味わってほしいという主催者側の思いがあると思うんです。

でも日本では、約2時間で内容をギュッと凝縮させて、興行イベントとしてファンミーティングを実施することが圧倒的に多いので、テンポよく、かつ充実感のあるイベントにしたい思いが強い。日本と韓国では、こういう点においても価値観がまるで違うのです。

エンタメにかぎらず、すべての分野において、日韓関係に溝ができてしまう理由の1つに、「お互いに理解している」と勘違いしていることがあるように思います。近くて似ているからこそ、難しい。

その点でいうと、僕が韓国関連のイベントでMCをするときに最も気を配っているのは、仕事仲間が「外国人である」としっかり意識すること。彼らのイベントにおけるゲームとは何なのか、どうしてこのタイミングでこのような演出をするのか……などを理解しながら、同時に日本のファンのみなさんにも喜んでもらえるように、両者の橋渡しをする。そんな役割が、イベントの進行にプラスされます。

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