今度は「U-NEXTとParavi」、慌ただしい業界事情 選択迫られる「国産テレビ系」動画配信サービス

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U-NEXTに吸収されることが決まった「Paravi」のメニュー画面(筆者撮影)
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なぜ動画配信サービス界隈がここにきて忙しいのでしょうか。直近だけでも1月のGYAO!終了の発表に続き、2月17日にはU-NEXTとテレビ局系のParaviをそれぞれ運営する事業会社が3月31日に経営統合すると発表。事実上、U-NEXTがParaviを吸収するかたちです。目まぐるしく変わる背景には競争激化やサービス数の飽和状態などがありますが、「どうする国産テレビ系」の声の高まりを象徴してもいます。

有料会員数300万人超えの算段

国内勢最大の有料動画サービスが誕生するという筋書きが、U-NEXTを運営するUSENグループ傘下の株式会社U-NEXTと、Paraviを運営する株式会社プレミアム・プラットフォーム・ジャパン(以下、PPJ)の経営統合にはあります。

ただし、もともと国内勢最大規模のサービスであるU-NEXTは「どうするU-NEXT」と言われる立場になく、マーケットシェアランキングにかろうじて10位に入るParaviを吸収する経営上のメリットが見えにくくもありますが、有料会員数を増やす手段としては渡りに船だったのかもしれません。

2022年9月末時点、日本の会員数1位は1650万人のAmazonのプライム・ビデオ、2位は700万人のNetflix、3位は後発のディズニープラスが360万人で追い上げています。それまでU-NEXTは280万人で3位のポジションに位置づけていましたが、世界全体で今や有料動画のトップに立つディズニープラスの勢いが影響し、トップ3の座を明け渡してしまっているのです。

それが経営統合によって、再び奪還できる可能性が出てきたというわけです。90万人ほどのParaviの会員数を単純に足せば、370万人です。これまでどの国内勢も目標としていた有料会員数300万人の壁を最低でも超えることができるという算段です。

「3年後に売上高1000億円を目指す」と語ったU-NEXT堤天心社長(写真:アジアドラマカンファレンス)

U-NEXT堤天心社長は「現在の売り上げ規模700億円以上から、今年は800億円、3年以内に1000億円を目指す」計画であることを明かしています。

2月7日に石川県七尾市で行われた国際会議「第15回アジアテレビドラマカンファレンス」で発言したもので、経営統合を発表したのはその後の2月17日ですから、増加率の要因については言及していませんでしたが、PPJの売り上げ規模を足すことで達成される数字であることが推測できます。

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