「映画の都度課金市場でAmazonと2社で市場の8割を占め、また韓国コンテンツはNetflixと並んで外せないポジションを築けている」と、堤社長はU-NEXTの強みは1つに限らないことも強調していました。加えて今年はスポーツのライブ配信やコミックや小説のオリジナル原作にも積極的に投資していく考えも示しています。経営統合という名のもとにParaviを吸収したのは、こうした新たな戦略を実現していくために経営体制をより強固なものにする必要があったとも分析できます。
100万人に届かなかったのが痛手に
一方、Paraviは2023年7月以降、U-NEXT内でサービスが継続される予定ですが、単独プラットフォームとしてのParaviは消滅します。TBSホールディングス、日本経済新聞社、テレビ東京ホールディングス、WOWOW、電通グループ、博報堂DYメディアパートナーズの6社が手を組んで意気揚々と2018年4月に開始されたParaviですが、5年目の今「どうするParavi」と言われる状況に追いやられていたのは事実です。
100万人に届かない会員数の伸び悩みは痛手になったはずです。Paraviの会員数が順調に増えなかった理由には、そもそも国内ドラマ最大級のアーカイブ数が唯一の強みであることも大きいです。
近年のテレビ番組に限らず、テレビドラマ創世期にさかのぼる膨大な数のTBSドラマが配信向けに次々と権利処理されたことそのものは評価できます。向田邦子や山田太一ら脚本の70年代の名作から80年代や90年代にヒットした金曜ドラマも含まれ、魅力的に映りました。でも、それが開始から5年がたった今でもParavi最大の売りのままでは目新しさに欠けます。
Paraviオリジナルドラマの制作やミュージカルやイベントの独占ライブ配信など新たな試みも継続的に行っていましたが、大きな話題を作ることはできなかったように思います。
また市場環境が激変したこの5年で株主に並ぶ6社それぞれの「方向性の違い」が深まったこともあるでしょう。たとえばWOWOWは独自の配信サービスに力を入れ始めています。2021年1月から「WOWOWオンデマンド」を開始し、会員が見たいコンテンツを放送でも配信でも自由に選べるサービス提供を打ち出しているところです。
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