素人がプロになる為「1万時間が必要」の深い意味 基本的に頑張れない生き物の僕たちが変わるには

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たとえば、鉛筆で自分の名前をプリントに書くとき、「鉛筆を持って、手を動かして、プリントに名前を書くぞ」なんて、いちいち意識したりしませんよね。でも、小学校低学年のころまでは、たぶん違っていたのではありませんか。

そう、君は何度も意識して書くことを繰り返すうちに、友達と雑談しながらでも、ささっと名前を書けるようになっていったはずです。つまり、繰り返すことがどんどん自分の行動を楽にしてくれるのです。

これは「脳に刻み込まれた無意識のパターンが、僕や君を動かしてくれる」と考えるといいかもしれません。

ある行動を繰り返すうちに、しだいに無意識の行動パターンができあがり、その行動パターンが勝手に自分を動かしてくれる。そんなイメージです。

そのかわり、この「無意識の行動パターン」はなかなかのクセ者でもあります。一度行動パターンができあがると、それと別の行動をしようとするとき、大きな「壁」として立ちはだかるからです。

たとえば、なにごともネガティブにとらえてしまう人がいます。そんな行動パターンができあがった人が、「明日からクヨクヨすることをやめて、ポジティブな人間になるぞ」といくら強く意識しても、なかなかうまくいかないだろうことは、想像がつきますよね。一度身についた無意識の行動パターンは、大人でも、自分の意志ではかんたんに直すことができないからです。

自律がむずかしい理由は、僕たちの「脳」にある

さらに困ったことに、脳には次の2つの特徴があります。

① 脳が意識できる情報は、入ってくる情報量の1000分の1
② 脳は、ポジティブな情報よりもネガティブな情報に反応しやすい

脳科学の研究によると、僕の脳も、君の脳も、五感から入ってくる情報量の1000分の1程度しか認識できていないことになります。しかも、1つのことに注意を向ければ向けるほど、ほかの情報を意識できなくなってしまう特徴を持っています。

YouTubeには、こうした脳の特徴を追体験できるアメリカのハーバード大学の研究チームによる「錯覚の科学」という1分少々の動画がアップされています。

selective attention test(動画:Daniel Simons/YouTube)
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