この動画の冒頭では、視聴者にこんな問いが投げかけられます。
「白いユニフォームのチームが、ボールを何回パスするか数えてください」
これを素直に聞いてバスケットボールの動きに集中していると、ほとんどの人は堂々と画面を横切っていく「ある動物」に気づきません。
「画面を横切る動物がいる」と知ってから動画を見返すと、君は、ゴリラの着ぐるみがパス回しをする人たちの真ん中を悠々と横切っていくのに気づきます。そして、「これに気づけなかったの?」と、驚くはずです。
「僕たちの脳は、入ってくる情報量の1000分の1しか認識できず、注意を向けたこと以外の情報はどんどん意識できなくなる」
この動画で、そのことが納得できたのではないでしょうか。
また、2つめの特徴としてお話しした通り、僕たちの脳はネガティブな情報に特別反応しやすい傾向を持っています。
これは、人間が狩猟生活をしていたころの記憶が残っているからだと言われています。
僕たちがものごとを否定的に見てしまいがちな理由
いま、僕たちは平和な国に暮らしていますが、太古の昔は身のまわりに危険が満ちていました。じつは、人間の脳の基本的な構造はそのころから変わっていないのです。
命にかかわる危険を回避するには、ネガティブな情報への反応の早さが重要です。そして、なにかに集中するよりも、たえず周囲に注意を払っている方が生き残る確率が高かったのです。
つまり、脳には「もしかしたら、自分の身に危険がおよぶかもしれない」と予測し、ネガティブな情報をすばやくキャッチする「ネガティブセンサー」が備わっているというわけです。
ですから、僕たちはどうしても、ものごとを否定的に見やすくなります。
「あいつは自分の味方か、敵か」と品さだめしてしまう。
人の嫌なところが気になってしかたない。
知らない人と友達になるのがこわい。
などなど、君も心あたりがあるかもしれないこうした行動は、ある意味人間として自然なことなんです。
だから、もし君が誰かに友達の悪口を言ったとしても、そのこと自体は脳科学的には「当たり前のこと」。だから、「自分は性格が悪いのかな……」などと自分を責めすぎる必要はありません。
ただこわいのは、先ほどもお話ししたように「ふだんから悪口を言い続けていると、無意識の行動パターンとして脳に定着してしまう」ということです。
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