素人がプロになる為「1万時間が必要」の深い意味 基本的に頑張れない生き物の僕たちが変わるには

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

この動画の冒頭では、視聴者にこんな問いが投げかけられます。

「白いユニフォームのチームが、ボールを何回パスするか数えてください」

これを素直に聞いてバスケットボールの動きに集中していると、ほとんどの人は堂々と画面を横切っていく「ある動物」に気づきません。

「画面を横切る動物がいる」と知ってから動画を見返すと、君は、ゴリラの着ぐるみがパス回しをする人たちの真ん中を悠々と横切っていくのに気づきます。そして、「これに気づけなかったの?」と、驚くはずです。

「僕たちの脳は、入ってくる情報量の1000分の1しか認識できず、注意を向けたこと以外の情報はどんどん意識できなくなる」

この動画で、そのことが納得できたのではないでしょうか。

また、2つめの特徴としてお話しした通り、僕たちの脳はネガティブな情報に特別反応しやすい傾向を持っています。

これは、人間が狩猟生活をしていたころの記憶が残っているからだと言われています。

僕たちがものごとを否定的に見てしまいがちな理由

いま、僕たちは平和な国に暮らしていますが、太古の昔は身のまわりに危険が満ちていました。じつは、人間の脳の基本的な構造はそのころから変わっていないのです。

命にかかわる危険を回避するには、ネガティブな情報への反応の早さが重要です。そして、なにかに集中するよりも、たえず周囲に注意を払っている方が生き残る確率が高かったのです。

つまり、脳には「もしかしたら、自分の身に危険がおよぶかもしれない」と予測し、ネガティブな情報をすばやくキャッチする「ネガティブセンサー」が備わっているというわけです。

ですから、僕たちはどうしても、ものごとを否定的に見やすくなります。

考える。動く。自由になる。-15歳からの人生戦略
『考える。動く。自由になる。-15歳からの人生戦略』(実務教育出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「あいつは自分の味方か、敵か」と品さだめしてしまう。

人の嫌なところが気になってしかたない。

知らない人と友達になるのがこわい。

などなど、君も心あたりがあるかもしれないこうした行動は、ある意味人間として自然なことなんです。

だから、もし君が誰かに友達の悪口を言ったとしても、そのこと自体は脳科学的には「当たり前のこと」。だから、「自分は性格が悪いのかな……」などと自分を責めすぎる必要はありません。

ただこわいのは、先ほどもお話ししたように「ふだんから悪口を言い続けていると、無意識の行動パターンとして脳に定着してしまう」ということです。

工藤 勇一 横浜創英中学・高等学校校長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

くどう ゆういち / Yuichi Kudo

横浜創英中学・高等学校校長。1960年山形県生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒。山形県公立中学校教員、東京都公立中学校教員、東京都教育委員会、目黒区教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長などを経て、2014年から千代田区立麹町中学校長として宿題廃止・定期テスト廃止・固定担任制廃止などの教育改革を実行。2020年より現職。教育再生実行会議委員、内閣府 規制改革推進会議専門委員、経済産業省 産業構造審議会臨時委員など、公職を歴任。著書多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事