素人がプロになる為「1万時間が必要」の深い意味 基本的に頑張れない生き物の僕たちが変わるには

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ことわっておきますが、この1万時間という数値は1つの目安にすぎないし、統計的な根拠があるわけでもありません。

実際はこの時間よりもはるかに早く一流になる人もいるし、その逆だってあります。時間の量だけがすべてを決めるわけではないのです。それでもなお、この考え方はとても素敵だと僕は思います。

「自律」って、大人でもむずかしい

とはいっても、「どんな自分になりたいか」を考えたり、「働く自分」を思い描いたりすることは、そんなにかんたんじゃありません。

特に明日、明後日、1週間先などでなく何年か先の未来の自分となると、考え出したところで、うまくいきっこありません。

それは「自分を哲学する土台」が整っていないからです。

その土台とは、「自律」です。「自立」ではありませんよ。

僕の考える「自律」とは、「自分で考え、判断し、決定し、行動すること」。

「自分で考えて、決めて、それを行動に移す」。一見かんたんなようにも思えるけど、じつは大人にとっても、とてもむずかしいことです。その理由は「人間の脳のしくみ」にあります。

ここからのお話は少し専門的になるけど、僕の友人でもある応用神経科学者の青砥瑞人(あおと・みずと)さんから学んだことをベースに、僕なりの言葉で伝えたいと思います。

脳の重さは、一般的な体型の人の全体重に占める割合の2%ほど。ところが、脳は一日のうちに、人が消費するエネルギーの4分の1、25%も使います。

つまり脳は、重さのわりにとてもたくさんのエネルギーを使う、燃費の悪い器官なんです。

脳
そもそも人間の脳が僕たちを基本的にがんばれなくしているのです(写真:takeuchi masato/PIXTA)

そこで人間の進化の途上で、脳には効率のよさを追求する「しくみ」が備わりました。

たとえば、新たに行動を起こすときに必要なエネルギーを「10」とすると、その行動を何度も繰り返すうちに、「3」くらいのエネルギーでできるように変化していくのです。

だから、最初のうちは「これをやるぞ!」と強く意識しなければできなかったことも、何度か繰り返すうちに、無意識のうちに処理できるようになっていくのです。人間って、すごいと思いませんか。

次ページ鉛筆で自分の名前を書くことすら最初は苦労したはず
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事