オウム後継「13億円資産隠し」疑惑が看過できぬ訳 被害者は泣き寝入り?賠償は滞った状態が続く

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そこで1999年12月に国会で成立したのが、事実上の「オウム新法」としての「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」(団体規制法)だった。

公安調査庁長官の請求により、公安審査委員会は観察処分を決定する。観察処分の対象となった団体は、公安調査庁による立ち入り検査を受けたり、信者の名簿や施設、資産を報告したりしなければならない。

観察処分は3年ごとに見直されるが、現在ではオウム真理教の後継団体として、麻原への絶対的帰依を強調する主流派の「アレフ」と、事件当時の教団のスポークスマンだった上祐史浩氏が率いる「ひかりの輪」、それに主流派と一定の距離を置き独自の活動を続ける「山田らの集団」に分かれ、この3つが観察処分の対象になっている。ここに約1650人が構成員として残る。

毎年資産を増やしながら、被害者への賠償金を支払わず

ここで報告される後継団体の資産が、毎年着実に増えていた。例えば、2015年10月にすでに8億9000万円だったものが、それから2年後には10億円を超え、さらに2年後の2019年10月には12億9100万円とされた。このうちアレフが12億8000万円を占めた。

ところが、それだけの資産を集めながら、地下鉄サリン事件の被害者などへの賠償金を支払っていないのだ。以前はわずかながらも被害者弁償を続けていたのだが、教祖の死刑が執行された2018年からアレフは、まったく支払わなくなった。

破産時の債権を譲り受けた「オウム真理教犯罪被害者支援機構」では、2018年2月に、アレフに賠償金の支払いを求めて東京地裁に提訴した。

2019年4月、東京地裁は請求通り約10億2900万円の支払いを命じた。ところが、「破産管財人から機構への債権譲渡は債務者の承諾を得ておらず、無効だ」などと主張していたアレフは、これを不服として控訴。2020年1月に東京高裁は1審判決を支持して支払いを命じている。アレフは上告するも、同年11月に最高裁が棄却して確定した。

アレフはこの訴訟にあわせるように、2020年2月以降、資産の報告もしなくなり、公安調査庁は2021年10月、団体規制法に基づく再発防止処分を公安審査委員会に初めて請求した。請求が認められれば、一部施設の使用や勧誘などが6カ月間禁止されるはずが、アレフが報告を再開したため、公安庁は請求を取り下げている。そのときは、アレフ内部で“お布施がなくなる”と、かなりあわてていたという。

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