ゲーム業界、「基本無料」でも事業が成立する訳 スマホ、対戦型などで課金手段はあの手この手

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ライブ配信の発展やゲームのコミュニティー化の影響で、従来型ゲームに代わり、運営型ゲームがますます台頭している状況だ。

前出の藤池氏は「さまざまなところに“基本無料”の圧力がある」と話す。実際、米ブリザード・エンターテイメントが22年10月に配信開始したシューティングゲーム『オーバーウォッチ2』は前作の買い切り型からフリーミアム型に移行している。

運営型ゲームには、ソニーのような伝統的なゲーム用ハードの会社も力を入れる。

ソニーは22年に米ゲーム開発のバンジー社を買収した。この狙いとしてソニーは、同社が有するライブサービスゲーム(ゲーム内容を更新し続け、長期的にプレーすることができるゲーム)のノウハウ獲得を挙げており、25年までに新規10タイトルの配信予定を掲げる。

米マイクロソフトも22年1月に米アクティビジョン・ブリザードの買収を発表するなど、運営型ゲームの取り込みにいそしむ。

買い切り型の家庭用ゲームも変化

買い切り型の家庭用ゲームも変化しつつある。任天堂は18年から月額課金サービスの「ニンテンドースイッチオンライン」を開始した。同サービスに加入すればオンライン対戦や過去作のプレー、セーブデータ預かりサービスの利用などができる。

世界中の人との通信プレーが当たり前となった今、家庭用ゲームでも、作品によっては同サービスへの加入がほぼ必須になる。例えば22年9月に発売された任天堂のシューティングゲーム『スプラトゥーン3』は4対4のオンライン対戦がメインモードであり、オンラインサービスに加入せずに楽しみ切るのは難しい。

「ニンテンドースイッチオンライン」の会員数は22年9月末時点で3600万人超。同社の安定収益に貢献している。

追加ダウンロードコンテンツの販売も盛んになっている。17年に発売された『マリオカート8DX』は22年から有料で追加コースを販売。23年末までに6回に分けて配信される予定だ。また「ニンテンドースイッチオンライン」と前出のマリオカート追加コースを含む追加パックなどをセットにした新プランも開始しており、買い切り型でも長期で遊んでもらえる施策を推進する。

米アマゾンもクラウドによるゲームサービスを開始。米ネットフリックスも参入するなど、業界はますます活況を呈する。「売って終わり」から「いかに長く遊んでもらえるか」へ。各社の競争が熾烈を極めていきそうだ。

ゲーム業界の業界地図は、「業界地図デジタル」でご覧いただけます。
武山 隼大 東洋経済 記者

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たけやま はやた / Hayata Takeyama

岐阜県出身。東京外国語大学国際社会学部モンゴル語専攻卒。在学中に西モンゴル・ホブド大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在ゲーム・玩具業界を担当。

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