ゲーム業界、「基本無料」でも事業が成立する訳 スマホ、対戦型などで課金手段はあの手この手

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『ファミ通ゲーム白書』編集長の上床光信氏は「ゲームがサーバー上に置かれることで、運用費がかかるようになった。多くのゲームプレーヤーに遊ばれたほうが課金してもらえるため、登録ユーザー、中でもアクティブユーザーが重要指標になってくる」と話す。基本プレー無料のモデルは普段家庭用ゲームで遊ばない人も取り込み、ゲーム人口の増加に貢献した。

対戦型ゲームは、FPS(一人称視点シューティングゲーム)に代表される運営型ゲームである。プレーヤーは銃などの武器を使って他のプレーヤーと対戦する。PCやゲーム専用機などさまざまなハードで遊べ、eスポーツでも親しまれているジャンルだ。

対戦型は利用者数がゲームの価値に直結するため、基本プレー無料のケースが多いが、1人で遊ぶゲームとは異なり、課金の有無がプレーヤーの強弱に直結するようなモデルは好まれない。

課金で戦いが有利にならないゲームを作る

例えば米エレクトロニック・アーツが運営する『エーペックス レジェンズ』は課金推奨方針として「課金で戦いが有利にならないゲームを作ること」としている。よく採用されるのがゲーム内で自分が使用するキャラクターが着用する「スキン」(コスチューム)などへの課金だ。このスキンに試合を有利に運べる要素はない。

ではなぜゲームの勝利に関係ないところでのマネタイズが可能なのか。『ファミ通ゲーム白書』副編集長の藤池隆司氏は「eスポーツやライブストリーミング(ネット上での生配信)が盛んになったことで、自分の好きな配信者と同じスキンが欲しいという人が増えるようになった。またゲーム内でプレーヤー同士がコミュニケーションを行えるため、昔からSNSで見られた『アバター課金』の要素もある」と話す。

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