営業マンの有効時間「平均15%」のお寒い実態 カフェ休憩はわずか、無駄作業が多くを占める

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もし、SFA/CRM(営業支援システム)を導入しているのであれば、自分の組織で営業がいったいどういうプロセスに時間を取られているのか、有効営業時間をデータ化して測ってみること(見える化すること)をおすすめします。本来の営業に使えている時間が、予想以上に少ないので、みなさん驚きます。

有効営業時間という視点は、データによるプロセスの見える化の例としてわかりやすいので、科学的な営業思考をイメージしてもらえるよい例だと思います。

実際に有効営業時間を測って業績改善につなげた事例を紹介しましょう。
精密機器メーカーT社の営業部では、競合との競争が激化し製品単価も下落傾向であったため、そのままでは予算達成が難しい状況にありました。そこで対応策を話し合ったところ、「どうも営業が社内にいる時間が多い気がする。実績に結びつく本来注力すべき顧客接点活動に使えている時間(=有効面談時間)が少ないのではないか?」という仮説が浮かんできました。

徹底的な見える化で業務改善につなげる

試しに有効面談時間を計測してみたところ、なんと就業時間のたった10%しかないことが判明。原因としては、クレーム対応や事務作業が多いため、社内にいる時間が多くなってしまっていたのでした。

この結果に驚いた会社では、特に18%もの時間を取られていたクレーム対応を営業部から切り離し、サポート部門で責任をもって対応する仕組みに変えました。また、事務作業でも13%の時間がとられていたため、社内のバックオフィス部門にその業務を移管して営業の負荷を減らしました。

こうした抜本的な業務改善の結果、余った時間を本来の営業活動に振り向けることができ、以前は10%しかなかった有効面談時間を30%強にまで増やすことができたのです。

一方、その反動で、クレーム対応を移管されたサポート部門にかかる負担が大きくなったため、負荷軽減と効率化を目指し、業務プロセスの本格的な見直しを開始しました。

いかがでしょうか? 有効営業時間を見える化すると、改善策も具体的になります。

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