ハンドメイド市場の規模はどうなっているのか。『ホビー白書』(一般社団法人日本ホビー協会)によると、ホビー市場全体の市場規模は1兆9076億円。うちハンドメイド市場に近いと思われる編物、織物、趣味工芸、洋裁・和裁、日曜大工、書道などのクラフト市場が8673億円と推計されている。ちなみにホビーユーザーは4696万人、うちクラフト関連の活動を行っているユーザーは2141万人と試算されている。
『iichi』の飯沼健太郎社長は、「大きなクラフトイベントへの来場者、出展者の応募状況をみても、年々需要が高まっていることがわかるし、2011年7月にスタートした『iichi』も年間250~300%くらいの成長を続けている」と手応えを感じている。
『minne』を運営するGMOペパボ minne事業部長の永椎広典氏は「インターネットで調べると“市場規模は4000億円”とあるが、それはおそらくハンドメイド材料を含めた市場規模。なので、CtoCビジネスがどれだけそこに食い込めるかという単純な話にはならないが、別の見方をすれば、それだけ材料を購入している人がいるということ。結構な伸びしろがある」と期待を寄せる。
関係者の話を総合すると、オンライン売買の場であるハンドメイド市場、材料市場、実際に作品を手にとって見ることができるリアルイベント、すべてがここ5年ほどで急激に伸びている印象だ。
ストーリーを求める消費者、作家となる主婦が増加
では、ハンドメイド市場が消費者に支持される背景には、どのような事情があるのだろうか。『iichi』の佐藤敏正取締役は、「大量生産・大量消費の結果、モノの行き場所がなくなってきた。クローゼットはファストファッションだらけ。みなが同じものを持っているなかで、もっと自分が納得のいく、ストーリーのあるものが欲しいという“餓え感”があるような気がする」と指摘する。
飯沼社長も「2005年にニューヨークのブルックリンで始まった『Etsy』は、そういった拝金主義へのアンチテーゼ、モノづくりの象徴として支持されて普及していった。“ちゃんと手に職を持とう”“顔の見えるものを買おう”といった動きは、今もムーブメントとしてあるのではないか」と話す。
一方、作り手である作家のニーズに注目してみたい。自分のペースで作って売ることができるハンドメイド市場を利用している作家には、育児のためにいったん仕事から離れていた主婦も多いと言われている。
「たとえば出産前にパタンナーや針子をやっていた人たちが社会復帰したいというときに、自分のペースで評価してもらいながら、収入もある程度得られるメリットがある」(佐藤氏)からだ。
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