トレンド不要?激変する「主婦消費」の真相 流行に敏感なあの"Mart族"の意外な変化

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『Mart』(光文社)の大給近憲編集長
洗濯用の香り付き柔軟剤、ホームベーカリーなど、数々のヒットを生み出してきたのが、雑誌『Mart』(光文社)とその主要読者である主婦層、通称“Mart族”だ。ところが最近、ヒットの裏側に変化の兆しがあるという。大給近憲編集長にその背景について聞いた。

流行のモノ情報に飛びつかない?

――『Mart』といえばイケアやコストコを好むような、情報に敏感な主婦向けの雑誌という印象があります。実際、手作りビーズや「食べるラー油」など数々のブームを生み出してきたわけですが、創刊から約10年たって、読者の変化を感じることはありますか。

ええ、ありますね。創刊当時は、「LE CREUSET(ル・クルーゼ)」とか、「Downy(ダウニー)」とか、ものの情報そのものが注目される傾向があったんですね。ところが今は、ものを提供するということだけでは、満足してもらえない。それだけでなく、「なぜ私たちにそれを提案するのか」「なぜ私たちにそれが必要なのか」といったバックグラウンド的なところからしっかり知りたがっているという感じを受けます。

自分たちがそういうものを使う存在なのかどうか、自分の立ち位置を雑誌を通して真剣に考えたいという人が増えているように思います。

最近『Mart』でも、丁寧にものや生活を見直したい、といったテーマをよく取り上げます。ここ1、2年の傾向ですね。とくに、若い世代の方が非常に真剣にそれらについて考えているように感じます。

――そうした変化には、なにかきっかけがあったのでしょうか。

ひとつあるのは、表層的な部分の情報というのはもう世の中にあふれていて、飽和状態になってきているということ。それから、売る側としては、僕らでもメーカーさんなどでも「あなたに向けての商品ですよ」と言って発信しますよね。「でも、その“あなた向け”という情報は一昔前と比べて爆発的に増えていて、読者側も全てを受け取ることはできなくなっている。そういうこともあって、本当に自分に大事なものってなんなんだろうと、多くの人が考え始めているのかもしれません。

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