トレンド不要?激変する「主婦消費」の真相 流行に敏感なあの"Mart族"の意外な変化

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体を絞りにいくのに、なぜ数十万も? と思いますが、トレーニング用にUGG(アグ)のブーツが支給されるし、朝食を担当するシェフというのは、選りすぐりの人だったりするわけです。

――トレーニングというより、もはやレジャーですね。

確かにちょっと極端ではありますけど、健康自体をエンターテイメントするっていうのは雑誌で成り立つんだろうかということも、ひとつ『Sprout』ではトライアルしているんですね。

そもそもの背景として、消費者のお金の使い方がいま変わってきていると思います。ブランド品を買うとか、高級車を買うとか、ということから若い人たちはどんどん離れていて。かわりに、体にいいことが前提で、別の楽しみを求めている気がします。

それからもうひとつ、やはり健康と言うと、食への関心が高くなるわけですね。『Sprout』第1号のテーマが、「わざわざ野菜を食べに遠出しよう」だったんです。遠出する、ということは、遠出した先に、新たな東京とは違う付加価値があるものがなきゃいけないじゃないですか。となってくると、ローカルというもの自体に価値があるんだ、ということが求められるので、こちらとしてもそれを探っていきたいんですね。

たとえば「Whole Foods」というちょっとおしゃれなアメリカのスーパーマーケットチェーンがあります。ここではローカルというコーナー自体が、スペシャルなものなんですね。そういうのが、日本でもあっていいのではないかと。

――新しい消費文化という感じもしますね。とはいえ、はるばる遠出した消費者が満足できるような物事が今、地方に整っているかというと実際どうなのでしょうか。近年、ご当地キャラは全国的に広がりましたが、それ以外の点で地域が魅力的になったか、楽しみやすくなったかというと、まだよく知られていないように思います。

それについてはいろいろ見方はあると思いますが、ひとつのアイデアとして、転勤ミセス、つまりご主人の転勤に伴って地方に移り住む女性を活かしたらどうだろうかと思うんです。

食品メーカーさんと一緒に札幌や福岡、名古屋など地方に行くことがあるんですけど、札幌の読者が、「私、もともとは横浜なんです」とか言うんですよ。で、今度福岡行くと、「私は札幌から来た」とか言うわけです。他の地域でもこういう方がたくさんいらっしゃるんです。

よく東京から地域創生のコンサルタントが行って、町興しをしたりと聞きますが、その地域に今住んでいる人の中に、転勤ミセスのような、もっと全国的な視野を持っている人がいる気がするんですよ。

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