周囲が大学生活を謳歌する中で、孤独に仮面浪人を続けた福田さん。その頑張りの根源をたずねると「充実していたからです」という意外な答えが返ってきました。
「高校時代と違って、自分の意志で選択をしたので目標に向かって集中できました。人間は、夢中になることと、昨日より成長できた実感を得ることで成長できると僕は思います。その双方が満たせていたから、結果的に頑張れたのだと思います」
毎日勉強に打ち込む日々の甲斐もあって着実に力をつけた福田さんは、現役時にEばかりだった早稲田大学の模試の合格判定をC~Bにまで上げることができ、成長した姿で試験本番へと臨みます。
「この年は政治経済学部と商学部と社会科学部の3学部を受験しました。最後の社会科学部の受験が終わったとき、もっとできたのではないかと思って涙が止まらなくなりました。そのとき、結果はどうあれ『あぁ、自分は全然能力のない、しょぼい人間なのだな』と思ってしまったのです。今、振り返ってみるとあの悔し涙を流したときが、はじめて自分に対する傲慢さがなくなった瞬間だったと思います」
浪人の失敗を通してきづいたこと
残念ながら、福田さんはこの年も早稲田大学には合格できませんでした。それでも、「仮面浪人をしてよかったです」と晴れ晴れと語る彼には、確かな学びがあったのです。
「僕は浪人の失敗を通して、自分が凡人だと知ることができました。自分なりに大学受験を頑張って、『やりきった』と納得できるようになったのです。とはいえ、世の中は結果がすべてです。だから、凡人の自分はその人たちと同じ土俵で戦うのではなくて、人が手を出さないところに100の時間を割いて一点集中するスタイルで戦うべきことがわかったのです。『受験というフィールドで勝ちきれなかった』経験が、世の中にはすごい人がいっぱいいるという、俯瞰できる目線につながりました」
器用に何もかも集中できる人間ではないから、隙間を狙って全労力を注ぐ。仮面浪人が終わってすぐにYouTubeチャンネルをはじめたのも、それが理由でした。
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