「当時YouTubeをやることは一般的じゃなくて、周囲も僕のことを『ヤバい人だ』という見方をしていました。でも、僕は昔のように周囲を気にして、一般的な大学生という枠組みにとらわれたくなかったんです。自分の頑張った証しを残したくて挑戦しました」
最初は動画を上げ続けても動画はなかなか伸びず、登録者は800人しかいかなかったと言います。それでも、仮面浪人体験記の動画が伸びたことに目をつけて勉強系の動画を上げ続けたところ、登録者が5000人まで伸び、仮面浪人YouTuberとしての地位を確立しました。
「戦う場所を移すだけで効果が変わってくることを実感できました。まさか、仮面浪人の経験がこうした形で生きるとは思いませんでしたけどね(笑)。その後、仮面浪人の人口が4万人しかいなかったので、10倍の人口がいる就活生を対象とした情報の発信に切り替えました。当時YouTubeには就活に関する動画を上げているチャンネルがなく、潜在的な視聴者さんが結構いるのに競争相手がいなかったので、このフィールドにすべての力を注ぎました」
仮面浪人時代に日記をつけた経験から名づけた「しゅん”ダイアリー”」は現在登録者数12万人を超えるYouTubeチャンネルとして、就活生に広く認知されるまでに成長しました。
「集中と選択。僕が受験を通して学んだことが、今生きているのです」
福田さんはそう言って笑ったのでした。
全身全霊でやりきった経験が今につながる
YouTubeチャンネルが軌道に乗ってから、就活生向けのメディアを発信する株式会社Diaryを創業した福田さん。金沢大学を休学して、続けている会社は現在5期目。売却や業務提携を繰り返しながら成長しているベンチャー企業の経営者でもある福田さんは、最後にこう答えてくれました。
「僕は今、何をやるかと同じくらい、何をやらないかを肝に銘じて生きています。だから、バイトや授業に追われて中途半端になりやすい仮面浪人という選択はおすすめしません。でも、どっちつかずのほうが圧倒的に多い現実と、否定的な周囲の意見をすべて受け止めたうえでそれでもやりたいなら、したほうが後悔しないでしょう。僕も『全身全霊でやり切った』仮面浪人の経験があったからこそ、現在の経済合理性を追う活動につながっているので、やると決めたからには、一点集中でやり抜いてください」
浪人とビジネス。一見関係のないものを1本の線でつなげて成果を上げ続ける25歳の若社長の瞳は、明るく、純粋で、それでも確かな未来を向いていました。
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