「餃子の雪松」が全国制覇しても絶対変えない流儀 現金商売の原点は“商店街の息子たち"にあり

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飲食未経験だったが研究を重ね、松井店主に作り方を教わって帰社すると味の再現を繰り返した。各地の人気店も実食。都内の「亀戸餃子」(東京都江東区)、餃子で有名な宇都宮市の「みんみん」(栃木県)や浜松市の「浜太郎」(静岡県)などの餃子も試食したという。

(写真:YES)
「お食事処雪松」と3代目の松井茂店主。現在は3代目の親族が店を切り盛りする(写真:YES)

埼玉県で「有人の飲食店」をスタートさせたが…

2016年から味の継承を始めたが、昭和の職人気質の3代目は、経験則での調理法。「焼き方は、パチパチいっているのがチリチリしてから」といった説明を再現するのに苦労した。

「2年近く試行錯誤した末、餃子を完成させました。1号店のオープンが迫ってきた頃、調理して3代目に試食してもらったのですが、『これならまったく一緒だよ。もう作るのが大変だから、オマエのところから仕入れるわ』と言っていただけました」

こうして開業した“1号店”は現在とは違い、有人の飲食店で、6個入りの「餃子定食」(300円)を提供。2018年9月、埼玉県入間市にオープンした。ところが……。

「連日、行列ができてすごかったのです。スタッフ全員で朝の5時までかけて用意しても、すぐ売り切れてしまう。あまりに周囲が渋滞して、警察から指導を受けたりもしてしまい、1カ月足らずで有人販売はやめました」

入間市の1号店は飲食提供もした。持ち帰り用の生餃子と冷凍餃子も販売し、連日行列となった(写真:YES)

その後、無人業態に変更したのは「昔からある野菜の無人販売」をイメージしたという。無賃購入がほとんどない日本人の良識に期待しつつ、似た事例を調べた末に決定した。

「会社のオフィスに常備する置き菓子『オフィスグリコ』(江崎グリコ)さんも参考にしました。当時、代金回収率を調べたら100%近くあり、これならいけると思ったのです」

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