「餃子の雪松」が全国制覇しても絶対変えない流儀 現金商売の原点は“商店街の息子たち"にあり

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冷凍餃子のみに変え、大量生産・大量販売にする生産体制の構築にも苦労した。

「取引先のご協力も欠かせません。餃子の皮に使う粉は、粉の種類、水分量、皮の厚さなどを何度も試行錯誤し、昭和産業さん(本社:東京都千代田区)がオリジナルの粉を開発し、ご提供いただいています。規模の拡大につれて工場も移転し、入間工場を稼働させました」

“鶏肉屋と和菓子屋の息子”が行き着いた、現金商売

それにしても、キャッシュレス決済が増える時代に、なぜ現金販売のみにしたのか。

「無人店舗の展開前は、電子決済でピッとやればドアが開くようなテクノロジー系も検討しました。でも、すべての人が気軽に使えるやり方ではありません。自動販売機も検討しましたが、伝統の餃子をそんなふうに扱うべきではない、という思いが勝りました」

長谷川さんと高野内さんには、もう1つ共通点がある。東京都東大和市にある栄商店街。2人はここで子ども時代を過ごし、実家は鶏肉店と和菓子店だった。

「まだ商店街が元気で、活気があった時代です。買い物に来た主婦に対して、八百屋のオジサンが、『今日はこれで料理を作って、旦那に一杯飲ませてやろうよ』と掛け声をかける光景が日常でした。その原点を持つ私たちは、結局、『昔ながらの現金商売でいこう』と決意したのです」

「餃子の雪松」の店舗立地も、生活感のある場所にこだわる。昼間人口は多いが夜間人口は減る繁華街には出店せず、家賃の高い幹線道路沿いよりも生活道路沿いに構える店も多い。

「無人だとコストがかからなくていいですね」とも言われるが、苦笑しながらこう語る。

「実際は毎日1~3回、スタッフが店に足を運び、商品補充や清掃をしたりします。備品の補充・発注もすれば、棚卸し作業もあります。見えない部分でコストがかかっているのです」

伝統を預かっているから「餃子の味」は変えない

雪松の餃子は、野菜中心で肉は全体の1%程度。ニンニクと生姜が多く、皮は薄皮なのも特徴だ。筆者も買って食べてみた。週に何度か食べても、飽きのこない味に思えた。

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