「服部半蔵」家康の三大危機を救った忠臣の深奥 家康に仕えし2人の半蔵、その評価を分けたある力

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NHK大河ドラマ「どうする家康」 山田孝之さん演じる服部半蔵
山田孝之さん演じる服部半蔵とはどんな人物?(画像:NHK大河ドラマ「どうする家康」公式サイト)
NHK大河ドラマ『どうする家康』第6回では、元康(家康)が妻子を取り戻す過程が、登場人物それぞれの抱える苦悩とともに描かれ、話題となりました。この妻子奪還作戦で重要な役割を担った山田孝之さん演じる服部半蔵の人物像について、徳川家臣団の「もう一人の半蔵」の功績とともに、『ビジネス小説 もしも彼女が関ヶ原を戦ったら』の著者、眞邊明人氏が解説します。

「忍術使い」ではなかった服部半蔵

服部半蔵は「忍者」として暗躍していたような印象を抱かれがちですが、実際の働きはやや異なります。

家康に仕えた服部半蔵こと服部正成は、服部家で半蔵を名乗る2代目で、徳川十六神将のひとりに数えられる“鬼の半蔵”と呼ばれた勇猛な武将でした。ただ、家康から伊賀や甲賀の忍びを預けられ、その指揮官であったことは事実のようなので、その意味では「忍者」の棟梁ではあります。しかし彼自身が忍術を使っていたわけではありません。

正成(半蔵)が歴史上の記録に登場するのは、家康が鵜殿長照を攻めた上之郷城の戦いです。「16歳の初陣ながら敵将を討ち取り、家康から盃と槍を賜った」とあり、この戦いでは甲賀者が投入されて鵜殿長照の息子2人の確保に成功します。『どうする家康』でもこの場面は描かれていましたが、実際に正成が関与したかどうかは定かではありません。

この戦いを経て正成は、家康の親衛隊(馬廻り役)に属します。

家康の最初のピンチである「三河一向一揆」の際も、正成は家康に従って戦い、その後も武功を上げ続けました。武田信玄に完膚なきまで叩き潰された「三方ヶ原の戦い」でも抜群の武功を上げ、この時の勲功により伊賀同心150人を預けられることになります。これが「伊賀の棟梁」と呼ばれる所以です。ただ、これはあくまでも預けられただけ。一時的に指揮官として任命されただけであって、家臣になったわけではありません。

正成は、徳川家最大の悲劇となった嫡男・徳川信康の死にも立ち会っています。

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