元詐欺師が激白「高齢者をだます」手口の一部始終 特殊詐欺を「支える」さまざまな業者

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懲役5年4カ月の実刑判決を受けたフナイム氏。関与した事件の被害者は3人で、被害額は約6000万円。2人には全額返済し、もう1人とは和解しているという(写真:記者撮影)
「ルフィ」を名乗って相次ぐ強盗事件を指示した容疑で、フィリピンで拘束中だった男4人が逮捕された。フィリピンを拠点に日本での特殊詐欺を繰り返していたとされ、被害規模は60億円以上に上る。
4人はSNSを通じ「闇バイト」として若者を集め、高齢者らに虚偽の電話をかける詐欺を働いていたとみられる。巧妙化する特殊詐欺はどのように実行されているのかーー。
2015年に特殊詐欺事件の主犯格として逮捕され、2021年11月に刑期を終えたフナイム氏(活動名)は現在、街頭で特殊詐欺撲滅のための活動をしている。特殊詐欺の手口や被害に遭わないための対策を聞いた。

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ーー逮捕された事件はどのような詐欺の手口だったのでしょうか。

高齢者に電話をかけ、「あなたには老人ホームに入居する権利がある。入居権を譲ってほしい」と持ちかける。入居権をめぐるトラブルをでっちあげ、その解決金という名目で多額の現金をだまし取るというものです。

私は主犯として逮捕されましたが、他にも3人のメンバーがいました。それぞれが電話口で老人ホームの職員や弁護士など複数の人間を名乗り、被害者に信じ込ませる劇場型の詐欺です。

ーーそうしたノウハウは誰が考えるのでしょうか。

老人ホームの詐欺を行う前は同じようなスキームで未公開株や転換社債を売っていました。そのとき、一緒にやっていた知り合いから入居権詐欺のマニュアルをもらい受けたのです。

そのマニュアルには事細かにせりふが書かれているんですが、実際の電話では相手が何を言ってくるかはわからない。その場その場のアドリブで切り返していく必要があります。

上場企業の役員名簿まで

ーーどんな人に電話をかけていたのでしょうか。

65歳以上の名簿を入手して、片っ端から電話をかけていく。名簿の種類はさまざまです。訪問販売やリフォーム、貴金属、着物の購入者、上場企業の役員、医者の名簿もあります。

私が電話をかけていた2014年から2015年においては、名簿はインターネットで名簿業者を探すと簡単に手に入りました。ターゲットを絞り込みたい場合は名簿業者に電話をして「都道府県別、性別、年齢で絞れますか?」などと頼みました。

ただ、汚れている名簿も少なくないので、買う前にサンプルをもらっていました。「汚れている」とは、すでに他の業者に売り買いされて手垢がついた名簿ということです。汚れている名簿は、電話をかけると「もうこんな電話かけてくるな!」とガチャ切りされたりします。最初にかける電話を「アポ電」といい、サンプルを使ってみて、アポが取りやすい名簿であれば購入するのです。

入手する電話番号は携帯電話ではなく固定電話です。固定電話のほうが高齢者につながりやすい。「なんでこの番号を知っているのか?」と聞かれたときも、「昔あったハローページに載っていた」などと言ってかわしやすい。

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