元詐欺師が激白「高齢者をだます」手口の一部始終 特殊詐欺を「支える」さまざまな業者

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ーー現金を受け取るときは受け子を使う?

受け子を使います。被害者が銀行からお金を下ろしてきた段階で、受け子を手配するグループのリーダーに「明日受け取れる人間を探してくれ」と頼むと、手配してくれます。

受け子グループのリーダーはあらゆる手段で受け子をスカウトしているようです。飲み屋やバーで知り合った人、ホームレス、パチンコ屋から出てくる人、闇金でお金を借りて首が回らなくなった人など。要はお金に困っている人です。

ーー今はインターネット上で「闇バイト」として募集し、受け子を集めることもあるようです。

私が詐欺を行っていたのは2014〜2015年。その時期の受け子グループは、地元の後輩といった直接顔がわかる人を受け子としてリクルートしていました。それが今はなぜなくなったかというと、受け子が警察に捕まったとき「先輩から言われた」と吐いてしまうからです。

受け子から足がついてしまうのを防ぐため、今はSNSで募集して「テレグラム」という匿名性の高いアプリを通して連絡を取り合っている。SNSで拡散すれば、お金がほしい人はいくらでも集まるでしょう。

ーーフナイムさんたちは電話をかけるだけで、被害者には直接会わないのでしょうか。

一度も会いません。電話だけです。現金の受け取りは、電話を通して受け子に指示します。

感情のジェットコースターを作る

ーー被害者は電話だけで信じてしまうものでしょうか。

劇場型の詐欺は、被害者の感情を揺さぶり、感情のジェットコースターをつくることで判断能力を鈍らせるのです。例えばこんな感じです。

X社(詐欺グループ):老人ホームへの入居希望者を斡旋している住友X社の山下と申します。Aさん(被害者)のお宅に老人ホームのパンフレットが届いていると思います。
被害者:いや、届いてないですね。
X社(詐欺グループ):送ったはずなんですけどね。実はうちのほうで老人ホームに入りたくても入れない方がいらっしゃいまして、入居権を譲っていただきたく、みなさんに電話をしているんです。Aさんは入居権をお持ちです。弊社のほうで手続きはやりますので、入居権をお譲りいただけないでしょうか。Aさんにご迷惑をおかけすることはないので、Aさんの優しさでなんとかお願いできないでしょうか。
被害者:じゃあ、それだったらいいですよ。

これでアポが完了です。しばらくしたらまたX社から電話をする。そこで入居権を譲られた老人役も登場し、被害者に「本当にありがとうございます」と御礼を伝えます。被害者のテンションが上がったところで、「老人ホームから電話がかかってくるから、対応してください」とお願いします。一度小さなお願いを聞き入れると、次々と要求をのんでいくのです。

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