アイデアが出ないとき、脳科学的に「散歩が効く」訳 ぼんやりしたり、仮眠を挟んだりするのもOK

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これまでをまとめると、何か問題を解決したいときはずっと考えているよりも、いったん離れて散歩したりぼんやりしたりして、あたため期を作ることで収束的思考から拡散的思考へと切り替わり、「不確実性のゆらぎ」が生じます。それによって、問題解決にいたったり高いモチベーションを維持したりできるのです。

もう1つ重要な点は、収束的思考は拡散的思考と同じくらい創造性に必要だということです。

4段階モデルを理解して、タイミングよく切り替える

多くの研究では、収束的思考は唯一の最適解を見つけるための思考であり、創造性は低いとしています。創造性を高めるためには拡散的思考が大切であるとし、創造性テストによって個々の拡散的思考力を測ってきました。

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しかし、創造性の4段階モデルから考えれば、高い創造性を生み出すために大事なのは拡散的思考だけではなく、拡散的思考と収束的思考の時間的なダイナミクスであるといえるでしょう。

4段階モデルを踏まえて高い創造性を発揮するためには、まず第1段階の準備期での収束的思考をもとに問題を明確にする必要があります。そして最終段階でアイデアを検証することで、あやふやなアイデアを形にします。

ひらめきが訪れやすい人やいつもワクワクしている人、モチベーションが高い人は、特別な才能があるのではなく、4段階モデルの時間的なダイナミクスを無意識のうちに理解していて、タイミングよく各段階に切り替えているといえるでしょう。

とくに、アンリ・ポアンカレの散歩やアインシュタインやエジソンの仮眠のように、問題から離れ、あたため期を導入するタイミングをとるのがうまい人が最終的に高い創造性を発揮したり、モチベーションが高い状態を維持できるのです。

大黒 達也 脳神経科学者

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だいこく たつや / Tatsuya Daikoku

1986年生まれ。博士(医学)。東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構特任助教、広島大学 脳・こころ・感性科学研究センター客員准教授。ケンブリッジ大学CNEセンター客員研究員。オックスフォード大学、マックス・プランク研究所勤務などを経て現職。専門は音楽の脳神経科学と計算論。著書に『芸術的創造は脳のどこから産まれるか?』(光文社新書)、『音楽する脳』(朝日新書)など。

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