アイデアが出ないとき、脳科学的に「散歩が効く」訳 ぼんやりしたり、仮眠を挟んだりするのもOK

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このように、統計学習における収束的思考と拡散的思考は、不確実性に対して逆方向にはたらく正反対の思考といえますが、拮抗しあうものではありません。むしろ、2つの思考によって生じる「不確実性のゆらぎ」を維持することで、モチベーションを一定の高さで保つことができます。

何か新しいことにふれて、「これを知りたい、学んでみたい」と感じたとき、私たちは不確実な情報にワクワクして「学習」のモチベーションが湧きます。新たな情報を受けただけでワクワクするので、ボトムアップ(低次から高次)型のモチベーションが強いかもしれません。

一方で、知識が蓄積されるほど(不確実性が下がるほど)、得られる知見も少なくなります。最初は新しいプロジェクトに意欲的に取り組んでいても、慣れるにつれワクワク感が薄れますが、熟成された知識や技術をもとにして新しい(不確実な)何かを生み出せないかという「創作」のモチベーションに変わっていきます。脳表層から脳深部へのトップダウン(高次から低次)型のモチベーションに近いものです。

創作した作品に対する他者や社会の評価は反省を促し、「まだ知識が足りない」「もっと知らないと」と思うようになり、下がりきった学習モチベーションが復活するのです。

このように脳には、不確実性を下げようという収束的思考と、不確実な情報に興味を持つような拡散的思考が表裏一体で存在し、知的好奇心を維持しつづけるという点では〝共創〟しています。2つの思考の共創によって不確実性に適度な「ゆらぎ」が生じ、モチベーションを高く維持できます。

「ゆらぎ」を生み出すには「意図的に問題から離れる」

だからといって、一般的には意図的に収束的思考と拡散的思考を行うことは難しいでしょう。難しい問題にぶつかると、なんとかして解決しようと収束的になり、拡散的思考に切り替えられないのが普通です。

「ゆらぎ」を生み出す方法の1つとして、意図的に問題から離れてみるというのがあります。イギリスの社会心理学者グラハム・ワラスによる「ワラスの4段階」(準備期、あたため期、ひらめき期、検証期と呼ばれるもので、本来、創造性のモデルとして提唱されたものですが、モチベーションにも当てはめることができます。

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