アイデアが出ないとき、脳科学的に「散歩が効く」訳 ぼんやりしたり、仮眠を挟んだりするのもOK
最初の「準備期」は、創造的思考を生み出すための「下準備の期間」に相当します。何を解決すべきか、その問題を頭の中ではっきりさせて解決するための手法や手段を、論理的・収束的に考えています。よって、準備期に行う思考のタイプは、収束的思考に偏っているといえます(拡散的思考がまったくないわけではありません)。
次の段階の「あたため期」では、問題解決に取り組むことを中断します。いわゆる煮詰まった思考を一度リフレッシュする期間に相当するといえます。あたため期で実際に何が行われているかについては、いまだはっきりしたことはわかっていません。一般的には、休息や睡眠、またはまったく別のタスク(運動など)だと考えられています。問題解決を中断するとはいえ、人間はあたため期においても思考しています。
意識的・顕在的に問題解決に挑む準備期に対して、3段階目の「ひらめき期」では、脳は潜在的に情報処理を行っています。そのあいだとなるあたため期では、意識的に問題から離れることで脳内の潜在的な処理が促進し、思考が熟していきます。ひらめき期での思考は拡散的思考に近く、準備期に取り組んでいた課題の答えが急に降ってくることがよくあります。
そして最終段階である「検証期」で、まだあやふやな状態のアイデアを具体的に落とし込んでいきます。直感を確信に変える作業ともいえます。検証期で行う思考は、基本的に収束的思考です。
「あたため期」が入ることで、思考のタイプが変化する
以上のように、準備期から検証期までを通して、人間は「収束的思考~拡散的思考~収束的思考」と2つの思考を交互に行うことで「不確実性のゆらぎ」を生じさせています。このゆらぎによって、自由な思考によって生まれたアイデアを具体的なものにできるのです。
4段階のうち、「準備期」と「ひらめき期」は、どちらも同じ問題の答えを見つけようとしています。にもかかわらず、準備期で思いつかなかったアイデアがひらめき期になると思いついたり、自然と解決法が見つかったりします。
それは、あいだに「あたため期」が入ることで、思考のタイプが収束的思考から拡散的思考へと変化するからです。そしてその変化のあいだで「不確実性のゆらぎ」が起こります。
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