WBCがサッカーW杯のようになれない残念な事情 MLB球団オーナーが全面協力を渋り選手の辞退も

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WBCは、台湾の台中洲際棒球場、日本の東京ドーム、アメリカ・フロリダのローンデポ・パークなどの球場が使用されるが、WBCのために特別手を入れることはない。

開催期間は、各国のプロリーグがキャンプインしてからペナントレースが開幕するまでの「間の期間」である3月に設定されている。開催期間は約2週間だ。

WBCは2006年に始まったが、開始当初は主催国のアメリカでもほとんど話題に上らなかった。春季キャンプ中のメジャーリーガーの中には「エキシビションゲーム(オープン戦)だろ?」という選手もいた。

選手たちの故障を避けたいMLB球団オーナー

WBCはMLBのバド・セリグ前コミッショナーが「野球の真のワールドカップを」と志向して球団オーナーや選手会を説き伏せて始めた。

アメリカには「北米4大プロスポーツリーグ」がある。野球=MLB、バスケットボール=NBA、アメリカンフットボール=NFL、アイスホッケー=NHLの4つだが、MLBは「OLD BALL GAME」と言われるように最も歴史が古く、ファンの年齢層も高い。近年、NBA、NFLにファンを奪われ守勢に立っている。

そのこともあって、セリグ前コミッショナーは、野球の国際化に乗り出した。中国、オーストラリア、さらにはヨーロッパの野球リーグの創設を支援するとともに「野球の真のワールドカップ」としてWBCを創設したのだ。

しかしながら、コミッショナーの足元のMLB球団オーナーたちのWBCへの反応は渋かった。21世紀以降、MLB球団はスター選手と巨額の契約を結んでいる。いわば球団の「資産」だ。その選手たちがMLBのペナントレースと無関係の大会でけがや故障をするのは避けたい。

特に2009年、第2回WBCで優勝した日本のエース、当時ボストン・レッドソックスの松坂大輔が、以後、不振に陥り復活することなく引退したことから、MLB球団のオーナーたちは、エース級の先発投手は一切出さなくなった。

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