台本の読み合わせのときも、自分の声の出し方やリズムなんかを聞いたり見たりしてもらうことで、これはここまでやっていい世界なんだ、ということを俳優に伝えたいということもあります。
だから人の前を走りたいとか、人の上に立ちたいということはまったくない。仕方なくリーダーシップをとっているというだけなんです。
おカネは「恐いな」という思いがある
――「おカネがいらない暮らし」ということが映画のテーマでありますが、松尾さんはおカネについてどういうお考えをお持ちなんですか?
実をいうと、おカネに対してそんなに考えたことはないんです(笑)。ただ、僕の兄貴が1回破産しているんですよ。だから「恐いな」という思いがあるんですよね。
借金を重ねるということはおカネを得ると同時におカネを支払うことでもあるわけだから。本当は借金して何かをやった方がより大きく儲けられたりもするのでしょうが、借金だけはしたくないなと決めています。
――劇団運営に関しても、あまりリスクはとらない形で運用されているんですか? 大きな劇場で公演を行うために莫大な借金をする劇団もあるようですが。
幸い、うちは早い段階で動員が増えたので、そういう意味ではラッキーだったと思います。
今後はどうなるかわからないですが、今のところはチケットが即完売するような状態が10年以上続いてるので、なんとかなっています。
でもシビアだと思いますよ。芝居はぜいたく品ですからね。チケットを買うためにはやはりそれなりに余裕がないと難しい。芝居を見るお客さん自体が減ってきているという話もありますし。
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