映画の中でも神さまが村に一人、現人神としてへらへら歩いてるみたいなことがあるんですが、そういうリアルの中に非日常を混ぜ込むという作り方は、僕も同じ。是非ともやってみたいと思いました。
――長編の映画監督作としては今回で3本目になると思いますが。松尾さんにとって、映画監督の仕事は、舞台の仕事などと比べるとどういう位置づけなのでしょうか?
やはり大きな仕事だと思います。映画監督というものはすごくズッシリとした重みがあります。たとえば、1年のうちで映画を撮ることが決まると、準備とかいろんなことがすごく大変。しかもシナリオを全部書いて、準備期間があって、撮影に入る。撮影が終わっても取材があるわけですから。生半可な気持ちではいたくないというのはありますね。みんなを引っ張っていかなくてはならないわけですから。自分の中にはないリーダーシップというものが無理やり引きずり出されるわけです。
「自分が率先してやるしかない」
――「自分の中にはない」とは言いつつも、大人計画を主宰する松尾さんは、非常に個性的なメンバーをずっと率いています。松尾さんが考えるリーダー論とは?
自分から先にケツを出すことだと思うんですよね。うちの俳優って、よくケツを出してるんです。だから自分が率先して恥をかかないと、その道は通ってくれない。僕にリーダーシップがあるとしたら、自分から率先してやるということしかないですね。
――それは舞台演出だけでなく、映画監督の時などの時も?
そうですね。映画だと自分が出ない作品もありますが、大概の作品では自分も俳優として出演しています。出るとなると自分が思うこの映画なり芝居なりにおける肉体はこういうものだ、ということを現場の俳優に提示して見せることが重要になってきます。
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