新型ノア/ヴォク「11万台」売れた驚異の真相 クラウンより先に最新技術を投入した下剋上

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それは、ある意味“下剋上”であり、筆者はそこにノア/ヴォクシー開発者の執念を感じた。なぜ、ノア/ヴォクシーはそんな“下剋上”を成し遂げられたのだろうか。それを紐解くのが、開発責任者を務めた水澗英紀氏の言葉だ。

彼は3世代にわたってノア/ヴォクシーの開発責任者を担ってきたミニバンのプロフェッサーだが、先代ノア/ヴォクシーではフルモデルチェンジのタイミングの都合もあって衝突被害軽減ブレーキの機能や性能が、モデルライフ最後までライバルに追いつけなかったことを悔やんでいたという。

2014年に発売した先代ヴォクシー(写真:トヨタ自動車)

「できる限り尽くしたけれど悔しい思いをしてきたし、なにより(先代を)買っていただいたお客様に申し訳ないという気持ちがあった。だからこそ、新型は登場後にライバルがフルモデルチェンジして進化しても先進安全装備面で負けたくなかった。なんとしてもトヨタで最先端の、ライバルを大幅に超える先進機能を搭載したかった」(水澗氏)

発売を遅らせてでも「最新」を

実は現行ノア/ヴォクシーの開発は、当初の計画に対して半年ほど遅れていた。理由は、最新の電子プラットフォームを活用できるタイミングに、開発スケジュールを合わせたからだ。

車両にはいわゆるプラットフォーム(車台)とは別に、電子系のプラットフォーム(パソコンやスマホでいうOSのようなもの)が存在し、現行ノア/ヴォクシーにはトヨタ最新の電子プラットフォームが初採用された。

各種の運転支援機能なども電子プラットフォームなくして成立しない(写真:トヨタ自動車)

だから、新しい先進装備が搭載可能となったのである。貪欲なまでの「いいものを作ろう」という心意気が伝わってくる。

実際、現行ノア/ヴォクシーが2022年1月に登場したあと、ライバルのホンダ「ステップ ワゴン」や日産「セレナ」が相次いでフルモデルチェンジしたが、両車ともに先進機能の充実度ではノア/ヴォクシーを超えていない。

先進面で唯一劣っているのは、セレナに高速道路の全車速域で使える高機能なハンズオフシステム(トヨタでいえばMIRAIに搭載されているものと同様)が用意されていることだ。

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