新型ノア/ヴォク「11万台」売れた驚異の真相 クラウンより先に最新技術を投入した下剋上
筆者は、現行ノア/ヴォクシーの概要を知ったときの衝撃を忘れることができない。“トヨタ初”というメカニズムが多く、「そこまでやるか」と何度も唸らされる内容だったからだ。
たとえばハイブリッドシステムは、先代「プリウス」が「第4世代」、「ヤリス」や現行「アクア」に積まれたものが「第4.5世代」と呼ばれるのに対し、ノア/ヴォクシーではすべてのユニット(エンジンは型式こそ先代と同じだが中身は実質的に新設計)を刷新した「第5世代」を採用。技術水準も最新世代にアップデートされた。
その約1年後にデビューする5代目プリウスに先駆けて最新ユニットを搭載したのだから、衝撃的だ。
加えて先進技術の新採用もすごい。普及版となる高速道路渋滞時の「ハンズオフ:手放し運転」システム(全域ハンズオフとなる「MIRAI」のシステムとは異なる)や、乗車前や降車後に車外からスマホで駐車/出庫のリモート操作ができる「トヨタチームメイト アドバンスト パーク」といった超先進機能を設定。
さらに、クラウド上に地図データを置く通信型カーナビ(主要グレードに標準装備)や、後方から車両や自転車が近づくと安全のため車内から操作しても開かないスライドドアなど、高度な機能が“トヨタ初”として用意されたのだ。もちろん、先進安全機能もトヨタの最新のものを搭載している。
これはトヨタ内での“下剋上”だ
筆者が感じたことを、言葉を選ばずに言えば「順番が逆ではないか」だ。
そういった先進機能は「クラウン」のようなフラッグシップモデルから搭載が始まるのが自然だし、ヒエラルキーとしてわかりやすい。最新のハイブリッドシステムは、ハイブリッドカーの元祖であるプリウスから搭載したほうが話題性もありアピールしやすい。
クラウンもプリウスも、ノア/ヴォクシーのフルモデルチェンジから1年以内に新型が登場するスケジュールだったから、トヨタの中で交通整理することはできたはずだ。でも、ノア/ヴォクシーはクラウンやプリウスに忖度することなく、全力でかかってきた。
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