世界初「感情可視化ツール」開発の意外なきっかけ 「人の気持ちが分からな過ぎた」技術者の想い
こういうときに、「みんなみたいにならなきゃ」とか思わなくていいですよ。そうするほど仕事がつまらなくなるし、自分の人生に言い訳するようになりますから。
人の道から外れることさえしなければ、自分を曲げず、やりたいことをやっていいんです。だって、自分の人生ですよ? 他人はおろか、見えない“常識”なんていうものにコントロールされたくないじゃないですか。
不機嫌な人をご機嫌に変える技術も実現間近
それに、エンジニアの皆さんがありのままの自分を貫く方が、面白い技術やプロダクトなど、イノベーティブなものが日本にどんどんあふれていくと思います。
これって、エンジニア個人にとっても社会にとってもすごく大きな意義があることだと思いませんか?
そのためにも、まずは自分の本当の気持ちを理解するようにしてください。
頭で「どうすべき」と考えるのではなく、心が「どうしたい」と言っているかに耳を傾けるんです。きっと近い未来に、『感性アナライザ』がその助けになると思います。
感情の可視化に成功した今、私の次の目標は「人の感情を変える」こと。感情は電気信号によって生じるので、その電気信号を、同じく電気信号によって変えてしまうことができるかもしれません。
例えば、怒ったりうれしかったりするときの脳波が分かれば、現状の脳波を、その脳波に変えればいいだけですよね。そうすれば、理論的には不機嫌な人をご機嫌な人に変えることもできる。それは研究を進める中で、確信に変わりました。
脳波や感情の分野は、奥深いんです。今はまだ全体の40%くらいのことしか解明されていないと言われています。まだまだブルーオーシャンの領域ですから、研究しがいのある分野です。
そうやってやりたいことがたくさんあるから、私はずっとご機嫌でいられるなと思います。
慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科教授/慶應義塾大学医学部精神神経科学教室兼担教授/電通サイエンスジャム取締役CTO/株式会社イーライフ取締役CTO
生体信号処理、脳波解析などをキーワードに、脳神経メカニズム・感情・睡眠・うつ病・認知症などに関する研究に従事。特に医工連携型研究に注力。電通サイエンスジャムと共同で、世界初の脳波によるリアルタイム感情認識ツール「感性アナライザ」を開発。リサーチ、商品開発など世界中で活用されている。心拍のみを用いた自律神経の動きに注目した睡眠の5段階解析、非侵襲ホルモン解析などの専門家
取材・文/天野夏海 企画・編集/栗原千明(編集部)
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