幸福を哲学で突き詰めた人にこそ見えている視点 偶然でなくどうつかみ取るか、それが問題だ

拡大
縮小
伸びをする女性
とっつきにくい話題かもしれませんが、とても重要なことです(写真:Ushico/PIXTA)

「哲学」と聞いただけで、無意識のうちに身構えてしまうという方も少なくはないかもしれない。なにしろ“難しいもの”というイメージは根強いし、そもそも“いま、なぜ哲学なのか?”と問われたときに返すべき明確な答えは、必ずしも多く存在しないからだ。

しかし、だからこそ『哲学100の基本』(東洋経済新報社)の著者、岡本裕一朗氏のこの説明には納得できるのではないかと思う。

<歴史をふり返ってみますと、時代が大きく転換するとき、今までの考えやものの見方では対応できず、新たな発想法を必要とする時期が訪れます。まさに今、こうした時代転換に匹敵する出来事が進行しているのではないでしょうか。このときは、答えを性急に求める前に、むしろ基本に立ちかえって、問題をあらためて考えなおすことが大切です。
物事を考えるとき、哲学は広い視野と長いスパンでアプローチします。日々進行している出来事に対して、一歩身を引いたうえで、「これはそもそもどのような意味なのか?」と問い直し、世界をどう見たらいいのか、新しいメガネを考案するのです。(「はじめに」より)>

つまり本書も、こうした考え方に基づいて書かれているわけである。しかも(少なくとも個人的には)ありがたく感じたのが、100項目を「人間」「知識」「道徳」などのワンフレーズでまとめ、さまざまな哲学に関するテーマを網羅的に理解できるように構成されている点。

哲学に関する書籍を読もうというときには、難解さに加え、最初から最後まで順序立てて読まなければならないというような不文律に左右されてしまう可能性がある。だが、こうしたスタイルであるため、どこからでも読むことができるわけだ。いいかえれば、そこでひとつハードルが下がる。

今回はそんな本書のなかから、人間にとって普遍的な問題だともいえる「幸福」についての項目をクローズアップしてみたい。

幸福をどうつかみ取るか、それが問題だ

本を熟読する女性
哲学とは多様なものです(写真:asaya/PIXTA)

語源から考えた場合、「幸福(英 Happiness、独 Glück、仏 Bonheur)」ということばは「たまたま偶然もらったもの」という意味を持っているのだそうだ。だとすればそれは「幸運」と同義であり、日本に古くからある「棚からぼた餅」という成句も「幸運」を意味するということになる。

次ページ熟した果実のように落ちてくるものではない
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT