社会の自然災害への抵抗力を高めるために、企業はどう貢献すべきか
東日本大震災で自然災害の恐ろしさがあらためて浮き彫りになった。こうした災害の被害を少しでも減らすために企業はどのように貢献すればよいのだろうか。アジア全域でCSRのコンサルティングを行っているCSR Asiaが毎週発行している『CSR Asia Weekly』より紹介。
監訳:CSR Asia日本代表 赤羽真紀子
3月11日に日本を襲った地震と津波の被害に世界が注視している中、人間の住む環境がいかに自然災害に対して脆弱かという認識も新たになった。過去10年間で自然災害に被災した人数は25億人に達し、その大半は災害の打撃を緩和するための資源や能力が限られた開発途上国の住民だ。特にアジアは世界で最も深刻な自然災害の危険に直面しているが、状況はおそらく人口増大と都市化により悪化するだろう。
こうした災害後には、各国政府や国際支援機関、民間の市民団体が支援に駆けつけるが、企業も災害対策を行ったり被災地の復興を支援することができる。企業からの寄付金という従来のフィランソロピーの役割にとどまらず、企業など民間セクターは災害のリスク削減、災害後の復興に関する専門知識や能力の提供が可能だ。
企業には地域社会の災害予防や災害からの復興に役立つ価値ある専門知識や機器、組織構造、サプライチェーンなどのネットワークがあるからだ。
こうした企業の関与を意味あるものにするためには、関与する活動の特定、社員の確保、責任従事の覚悟、被災地へ手を差し伸べることを可能にする外部機関との提携が重要となる。
■関与する活動を特定することが大切
企業が災害対策に関与する理由は企業フィランソロピーから将来のビジネスチャンスを得るためなどさまざまだ。こうした各企業の考えと被災地が得る利益を考慮することで、企業はより長期的な関与ができる。
被災した地域社会の経済安定は企業利益にもかなう。災害で打撃を受けた経済社会は企業自体にも影響し、その存続をも危うくしかねない。社員から顧客、地域社会に至るステークホルダーの期待も民間の関与の重要な原動力になる。